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SECURITY SHOW 2009&IC CARD WORLD 2009レポート

人の出入りの把握から始まるオフィスセキュリティー

2009年03月06日 09時00分更新

文● 行正和義

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 3月3日~6日まで、東京ビッグサイトで「SECURITY SHOW 2009」が開催されている。さまざまなセキュリティー関連製品が一同に会する展示会なのだが、やはり最も多いのは企業の機密漏洩防止用の製品だ。



オフィスの門番はIDカードじゃない!?
共連れを防げ

 会場では、各種監視カメラ群と並んで目を引いたのが入退室管理システムだ。IDカードによって入退室管理するというのはもはやほとんどのオフィスでは当然のこととなっているのだが、単にIDカードをかざすだけでなく、さらなる付加価値を付けてきている。

イトーキの「システマゲート」

会社やビル全体の入退室管理はドアではなくゲートのほうが多いだろうが、会社の顔になるところだけにデザイン性も重要となる。写真はイトーキの「システマゲート」

 指紋・虹彩・手のひら静脈といった生体認証装置を併用する製品も多く見られ、また顔認識もかなり実用レベルに達しつつあるようだ。例えば、イトーキの「システマゲート」はかなり薄型化しており、透明な強化ガラスフラップにより圧迫感も少ない。より薄型でフラップの小さなモデルも用意される。

 しかし、セキュリティードアの運用現場を考えれば、認証そのものよりも重要なのは「共連れ」。1人がIDカードをかざして開けたドアに、続いて他の人も入退室してしまうのはよくあることなのだが、どんな認証装置を搭載していても意味がなくなってしまう。

クマヒラの「サークルゲートRG」

共連れ防止であればシンプルな1人用ゲートも有効だ。クマヒラの「サークルゲートRG」は1人ずつ通る小型のドアで、内部に認証装置を持つ

 共連れを防ぐにはドアを二重の閘門(こうもん)式にして一度に1人しか通さないのが一番。……ではあるが、エアロックのような厳重なドアをいくつも設けるのは大掛かりになるうえ利用者の抵抗感もあることから、いかに気軽に設置・利用を可能にするかがポイントになるだろう。

 セキュリティードアを扱っているメーカーのほとんどが共連れ防止機能を盛り込んできているが、その多くは天井などのカメラで2つのドア間、もしくはドア付近を撮影し、画像認識によって人数を把握するというもの。通過しようとする人数分の認証がなされないと、次のドアが開かないという仕組みだ。

東芝の共連れ防止ドア

多くのメーカーが出品していた共連れ防止ドア。2重になったドアの間にいる人数分の認証がなされないと通れないシステム。画像は東芝のブースで、参考出品

 ドアを二重化するとどうしても規模は大きくなってしまうものの、最低限ドア1枚+カメラの構成で認証分の人数が通り抜けたかどうかの確認(一致しないと警報が鳴る)は可能。入退室管理をどこまで厳格化するかは難しい問題だが、認証方式の違い以上にセキュリティーにとって重要なポイントだけに、よりさまざまな工夫がなされそうだ。


無線LANセキュリティーにシート型アクセスポイント

 PC関連のセキュリティーに関してはこのショウではそれほど出品は多くなかったのだが、データ漏洩に関しては無線LANが課題となっているようだ。

イトーキの「LAN Sheet」

イトーキの「LAN Sheet」。机に敷かれたメッシュ状のシートが無線LANアンテナで、手前と奥のシートを繋いでいる黒い四角いものがアクセスポイント(アクセスポイントの中身がシートの上に置かれている)

 WEPキーの危険性についても問題視されつつあるが、イトーキの2次元LANシステム「LAN Sheet」(関連記事)のように無線LANを使いつつも飛距離を制限するなどの工夫は、オフィスにとってはかなり有効な手段となるだろう。LAN Sheetの場合、特殊なアンテナを用いて机の上で無線LANを使うには問題はないものの、1m程度離れると減衰してしまう。具体的にはシートの下側にアンテナがあり、電波はメッシュに見える隙間から出てくるため到達範囲が非常に限定されるわけだ。通常の無線LANでは隣のビルからでもアクセスできるてしまうことを考えれば、かなり安心して無線LANを運用できる。

東京計器の「アンティエミー」

東京計器の「アンティエミー」は組み立て式の電磁波シールドルーム。壁は金属メッシュなので照明や空調を別途設けなくてもオフィス内に設置でき、電磁波がいっさい漏洩しない(声は聞こえる)。周囲の電磁波の影響を受けない実験・検査用だが、電波を使っての情報漏れを防ぐ会議スペースとしても利用できるという


今年はパンデミック対策も!

 また、オフィスのセキュリティーには情報漏洩だけでなく、「防災」という要素も重要だ。各種セキュリティーを手掛けるセコムでは、ゲートや監視カメラとならんでAED(自動体外式除細動器)の設置・メンテナンスを前面にアピールしていたほか、防災関連のサービスも重要視していた。

セコムの防災関連サービス

セコムの防災関連サービス。オフィス常備の防災パックも地震災害などに加え、インフルエンザ対策のものも含まれるようになった。セコムの場合、単に常備用品だけでなく、情報提供なども含む統合サービスとなっている

 SECURITY SHOWでは数年前までは対テロ関連製品が多かったが、特に今年はパンデミック(感染症の大流行)を意識した製品も見かけ、オフィスという人が集まる場の機能を維持する際に意識しなくてはならない要素が増えている(複雑化している)ことを改めて考えさせられる。

荏原実業のインフルエンザ対策用品

荏原実業が扱うインフルエンザ対策用品。各種マスク、非接触型体温計などがあるが、空中の除菌に威力を発揮するクレベリン(マネキンが首から下げている)関連が非常な人気だという

IDカードを用いた明光商会のSSFC規格対応シュレッダー

これは同時開催の「IC CARD WORLD」に出品されていたものだが、IDカードを用いた明光商会のシュレッダー。SSFC(Shared Security Formats Cooperation、セキュリティー&IDカードの業界団体)規格対応で、シュレッダー本体にはカードリーダとスキャナーが内蔵され、書類を読み取ってから裁断する。そのため、誰がいつどの書類を破棄したかというログが残る


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