3月3日~6日まで、東京ビッグサイトで「SECURITY SHOW 2009」が開催されている。さまざまなセキュリティー関連製品が一同に会する展示会なのだが、やはり最も多いのは企業の機密漏洩防止用の製品だ。
オフィスの門番はIDカードじゃない!?
共連れを防げ
会場では、各種監視カメラ群と並んで目を引いたのが入退室管理システムだ。IDカードによって入退室管理するというのはもはやほとんどのオフィスでは当然のこととなっているのだが、単にIDカードをかざすだけでなく、さらなる付加価値を付けてきている。
指紋・虹彩・手のひら静脈といった生体認証装置を併用する製品も多く見られ、また顔認識もかなり実用レベルに達しつつあるようだ。例えば、イトーキの「システマゲート」はかなり薄型化しており、透明な強化ガラスフラップにより圧迫感も少ない。より薄型でフラップの小さなモデルも用意される。
しかし、セキュリティードアの運用現場を考えれば、認証そのものよりも重要なのは「共連れ」。1人がIDカードをかざして開けたドアに、続いて他の人も入退室してしまうのはよくあることなのだが、どんな認証装置を搭載していても意味がなくなってしまう。
共連れを防ぐにはドアを二重の閘門(こうもん)式にして一度に1人しか通さないのが一番。……ではあるが、エアロックのような厳重なドアをいくつも設けるのは大掛かりになるうえ利用者の抵抗感もあることから、いかに気軽に設置・利用を可能にするかがポイントになるだろう。
セキュリティードアを扱っているメーカーのほとんどが共連れ防止機能を盛り込んできているが、その多くは天井などのカメラで2つのドア間、もしくはドア付近を撮影し、画像認識によって人数を把握するというもの。通過しようとする人数分の認証がなされないと、次のドアが開かないという仕組みだ。
ドアを二重化するとどうしても規模は大きくなってしまうものの、最低限ドア1枚+カメラの構成で認証分の人数が通り抜けたかどうかの確認(一致しないと警報が鳴る)は可能。入退室管理をどこまで厳格化するかは難しい問題だが、認証方式の違い以上にセキュリティーにとって重要なポイントだけに、よりさまざまな工夫がなされそうだ。
無線LANセキュリティーにシート型アクセスポイント
PC関連のセキュリティーに関してはこのショウではそれほど出品は多くなかったのだが、データ漏洩に関しては無線LANが課題となっているようだ。
WEPキーの危険性についても問題視されつつあるが、イトーキの2次元LANシステム「LAN Sheet」(関連記事)のように無線LANを使いつつも飛距離を制限するなどの工夫は、オフィスにとってはかなり有効な手段となるだろう。LAN Sheetの場合、特殊なアンテナを用いて机の上で無線LANを使うには問題はないものの、1m程度離れると減衰してしまう。具体的にはシートの下側にアンテナがあり、電波はメッシュに見える隙間から出てくるため到達範囲が非常に限定されるわけだ。通常の無線LANでは隣のビルからでもアクセスできるてしまうことを考えれば、かなり安心して無線LANを運用できる。
今年はパンデミック対策も!
また、オフィスのセキュリティーには情報漏洩だけでなく、「防災」という要素も重要だ。各種セキュリティーを手掛けるセコムでは、ゲートや監視カメラとならんでAED(自動体外式除細動器)の設置・メンテナンスを前面にアピールしていたほか、防災関連のサービスも重要視していた。
SECURITY SHOWでは数年前までは対テロ関連製品が多かったが、特に今年はパンデミック(感染症の大流行)を意識した製品も見かけ、オフィスという人が集まる場の機能を維持する際に意識しなくてはならない要素が増えている(複雑化している)ことを改めて考えさせられる。