会社で毎日、お世話になっているものといえば――PC? いやいや、わが身をどっしりと預けるオフィスチェアがあるじゃないか。特にデスクワークがメインであれば、腰や背中に負担を掛けない形を選んだり、好みの高さに調整したりと、こだわりを持つ方も少なくないだろう。そんなオフィスチェアの歴史が分かる「オカムラいすの博物館」(東京・永田町)が2月12日にオープンしたので、さっそく取材した。
終戦直後の航空機の椅子からオフィスチェアへ
“いすの博物館”と聞いてもピンと来ないかもしれないが、赤坂日枝神社のそばにある同社オフィスのうち、3フロア分を割いたという大がかりなもの。
岡村製作所は第二次世界大戦後の昭和20年(1945年)に航空機メーカーの日本飛行機の元社員たちが起業し、米軍将校向けのデスクや椅子を作ったのをきっかけに各種オフィス用品を手がけて、現代に至る。そんな同社が手がけてきたオフィスチェアの歴史と椅子設計の科学が体験展示されている。
同社の椅子作りの技術・デザインをアピールする場ではあるのだが、実際に訪ねてみると単なるショールームとしての役割にはとどまらない内容には大いに驚かされた(ちなみに同社ショールームも、いすの博物館から歩ける距離の、ホテルニューオータニ・ガーデンコート内にある)。
館内は、椅子作りの歴史を実物展示で紹介する「いすの展示」と、椅子作りに関する人間工学設計を分かりやすく説明した「いすの科学」で構成されている。
オフィス用の椅子だけじゃない
上海国際空港や新型ロマンスカーの椅子もオカムラだった!
(次ページ、「『いすの展示』に並んだ歴代の事務用椅子の数々」に続く)