残念なことだが、「テクノロジーモノ」はその目的とするところが限りなく進化することで、逆にその相対価値がどんどん失われてゆくことが宿命だ。昨年の春に64GBで10万円以上していたSSDは、1年後には10分の1くらいになってしまうだろう。
昨年末、筆者は秋葉原で2GBのSDメモリー5個を約2000円で購入した。今ならもっと安いか、既にそのサイズは市場から消滅しているかもしれない。日本初のUSBメモリーはその昔、なんと8MB(GBではなく)で7000円前後だった。
一方、ITガジェットの世界では、限りなくゼロを目指して急降下してゆく「テクノロジーコモディティー」(技術部品)と「ブランド商品」のコラボレーションモノが時々現われては消えてゆく。
記憶に新しいところでは「ゼロハリバートンUSBメモリー」もその一つだった。2005年に1万5000円前後で販売開始され、ゼロハリ・ファンの多くが一度は購入してみたいと考えたに違いない。
発売時の容量は512MB。その後1GBの製品も発売され、従来モデルから2GBへのアップグレード・パスなども施されたが、今ではUSBメモリーの容量は最低でも4GBが普通の感覚だ。ブランド物とは言え、残念ながら他人に自慢できることが大きなアドバンテージであるITガジェットとしての価値は急落したと言わざるを得ない。
「戦略的衝動買い」とは?
そもそも「衝動買い」という行動に「戦略」があるとは思えないが、多くの場合、人は衝動買いの理由を後付けで探す必要性に迫られることも多い。
それは時に同居人に対する論理的な言い訳探しだったり、自分自身に対する説得工作であることもある。このコラムでは、筆者が思わず買ってしまったピンからキリまでの商品を読者の方々にご紹介し、読者の早まった行動を抑制したり、時には火に油を注ぐ結果になれば幸いである。

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