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アドビの戦略説明会で見つけたビジネスのアイデア

業務システムの刷新は「あなたの為の効率化」が合い言葉

2008年12月24日 05時00分更新

文● 佐久間康仁/企画報道編集部

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 総務や経理など、社内業務システムの担当者に共通する悩みは、「せっかく新たに使いやすいシステムを導入したのに、『前の方が分かりやすかった』『新しい手順を覚えるのが面倒』などと文句を言われ、なかなか使ってもらえないこと」ではないだろうか。

 作業のワークフロー全体を見れば、紙が減らせる、手順が減るなど効率化されたとしても、実際に運用する側からしてみれば、「新たな仕事がひとつ増える」となれば、抵抗したくなるというもの。

 そんなジレンマを解消するヒントを、12月18日に行なわれたアドビ システムズの戦略説明会のデモに見つけたので紹介しよう。


普段の仕事を効率化⇒結果、業務全体が効率化する
「押しつけない」「すすんで使いたくなる」がベストな解

 アドビがデモしたのは、ある県の宅建協会が、加盟する不動産業者の持つ物件情報を一元管理して、災害などの場合に効率的な住宅の提供などを目指すというもの。そのためには、不動産業者が個別に持っている物件情報をデータベースに入力してもらう必要がある。

KT-TOOLS

アドビ システムズがデモした、不動産情報の管理およびチラシ作りのためのAIRアプリ「KT-TOOLS」

 当初は、宅建協会が構築したDBシステムに対して、加盟する不動産業者に目的や背景を説明し、データ入力の協力を仰いでいたが、不動産業者にしてみればまさに「余計な仕事が増えただけ」で、なかなか入力は進まなかった。

 そこで、あるAIRアプリを開発して不動産業者に配布したところ、データ入力が効率よく進んだという。これだけ聞くと、「リッチで分かりやすいGUIを設計すれば万事解決――って単なるFlashの宣伝じゃないの?」と思うかもしれないが、さにあらず。

KT-TOOLS

チラシ作りのために入力した情報は、そのままDBに格納され、説明資料にも自動的に反映される

 このAIRアプリは、不動産業者が物件のチラシや契約時に必要な文書を作成するものなのだ。不動産業者は従来、それぞれにレウアイトソフトなどを使って写真、物件情報(住所や間取り、金額、地図)などのデータを並べ、さらにその別のアプリで契約書類を作る、という手間を掛けていた。例えば、市町村合併で住所に変更があったり、間取りや金額が変わった場合には、それぞれの文書を個別に直さなければならない。

 その点、AIRアプリでは最初に作ったチラシ情報で入力した情報がデータベースに自動入力され、契約文書の同一項目にも自動的に反映されるので、修正作業があっても一度で済む。さらに、業者間でAIRアプリの使い方を覚えるための文書も共通化できるなど、不動産業者にとっては普段の面倒な作業が大幅に効率化できるというメリットがある。

KT-TOOLS

こうして集められた不動産情報が、宅建協会側でも一元管理できる

 と同時に、AIRアプリから入力された情報は、そのまま宅建業界のDBシステムにも入力され、当初の目的である不動産情報の一元管理が進捗したという。

ジョン・ロイアコノ氏

戦略説明会に出席した、米アドビ システムズ社のクリエイティブソリューションズ担当シニアバイスプレジデントのジョン・ロイアコノ(John Loiacono)氏

クレイグ・ティーゲル氏

2008年9月に日本法人の代表取締役に就任したクレイグ・ティーゲル(Craig Tegel)氏


社内業務システムの刷新にも
「ベストな解」があるはず!

 これは決して珍しい(限られたケースでの)成功例というわけではない。例えば、アナタの会社で経費精算に新しいオンライン入力システムの導入を考えているとする。

 経理担当者にしてみれば、いくつもの承認印を経て届く紙の書類を、いちいち見ながら手入力している手間が省けて助かる! と喜んでみても、実際に毎週(毎月)の領収書をため込んでは経理担当に叱られている現場の人は、新しいシステムが「使いにくい」「分かりにくい」と文句をいうことだろう。

 例えば、交通費精算は出発と到着の駅名さえ入力すれば、経路と運賃が自動的に計算される、といったシステムの場合、現場の人にそのメリットを分かりやすく具体的に説明すること。それによって、「自分の作業が楽になるなら使おう」という気になるし、使う人が増えるほど、周囲にもそのメリットや使い方が自然に伝播していくはず。

 同時に、オンラインで入力されたデータが経理のDBに自動入力されることで、たとえ承認印は従来通り紙の書類で回ったとしても、経理担当者は最後に書類と入力データ間で変更がないことを確認するだけで済む(手入力によるミスも防げる)。

 同じ新システムの導入でも、利用者への説明や動機付けひとつで、積極的に使われるか、煙たがられるか、結果は大きく変わってくる。こういった事例はどんどん活用していきたいものだ。


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