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大画面・ハイエンド一体型PC 誕生の秘密とは

VAIO type R 解体天国

2008年10月06日 15時00分更新

文● 小西利明/トレンド編集部

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クアッドコアCPU搭載一体型実現のポイントは?

 湯川氏の手により、解体されていくtype R。まずスタンドを外して、背面パネルを止めるネジを外していく。

type Rの分解は背面から行なう

type Rの分解は背面から行なう。ネジは少なくないが、背面パネルを外す程度なら、それほど難しい作業ではない

実はこれも売りというスタンド部

実はこれも売りというスタンド部。表面は傷付きにくいようにゴム塗装で、ディンプル加工が施されている

HDD収納部を開けた状態

HDD収納部を開けた状態。上側はHDDの装着が容易なように作られている。左下のHDDもアクセスはわりと簡単

スタンドを外した状態

スタンドを外した状態。中央に目立つ4つのねじ穴は、VESA 100mmタイプのモニターアーム用。ただし、本体部分だけで15kg近くあるので、アームの選択は慎重に行なう必要がある

背面パネルがいよいよ外されると……

背面パネルがいよいよ外されると……

リアシャーシが現われる

リアシャーシが現われる。ここにウーファーを囲むユニットが装着されている

――「一体型でいこう。でもフラッグシップたりうる高性能を入れ込もう」と、そうなったとき、解決しなくてはならない技術的課題というのは、相当に多いと思います。新type R実現のための技術的課題というのは、どういった点が挙げられるでしょうか。

バイオ最初の一体型PC「バイオ W」

かつて湯川氏が手がけたという、バイオ最初の一体型PC「バイオ W」。2002年に登場した

湯川 企画のスタート時点では一体型でクアッドコアCPUを搭載したものはなかった。私はずっとVAIOの一体型を担当し続けているのですが、初期の一体型はいわゆる「デスクトップアーキテクチャー」でした。それがtype Lで「ノートアーキテクチャー」の一体型を作って、メカ設計も電気設計もノウハウを蓄積してきました。その蓄積により、ハイパフォーマンスな一体型を作るために「必要十分なものの選択肢はどこか」という議論が練られてきたという面があります。

 具体的には、メモリーはノート用のSO-DIMMを使いながら、チップセットとCPUはデスクトップ用を使う。あるいは、電源部はどうしたら高い出力を持ちながら、熱の問題を出さずにケースの中に内蔵できるのかなどですね。

リアシャーシが外されると……

リアシャーシが外されると、ようやく内部の基板や電源ユニットが見える

――そういえば、これは電源も内蔵なんですね。

湯川氏

「ハイパフォーマンスな一体型を作るための議論が練られてきた」(湯川氏)

湯川 液晶パネルも大きなものを使えるようになってきたので、デバイスはどのようにレイアウトしたらいいのかや、放熱設計はどうしたらいいかとか、イメージが湧いてきた。ハイパフォーマンスでありながら薄く見せるという点に、自信を持って臨めるようになってきたのです。

――確かに液晶パネルは大きいですが、この中にクアッドコアCPUとディスクリート(外付け)GPUを入れて、HDDも2台内蔵。それを動かせるだけの電源も入れて、放熱もきちんとできるようにする……そう簡単に作れるものではありませんよね。

湯川 例えばヒートシンクにしても、小さくても開口部や空気の取り込み口の工夫や、新しいヒートシンクの考え方など、いろいろなノウハウが詰まっています。

ヒートシンク周りの構造を説明する湯川氏

ヒートシンク周りの構造を説明する湯川氏

――熱設計においては、なにがポイントになったのでしょうか。

湯川 空気の流れをおおざっぱに説明しますと、下から上へと流れています。ディスプレー下部から温度の低いフレッシュな空気を大量に取りこんで、空気が内部で循環することないように、ストレートに熱源を通って上にあがっていく。一番単純な熱設計の考え方を守っています。

 もうひとつは、熱源を分散させて、冷たい空気を吸って熱源を通り、ほかに影響することなくまっすぐに出す内部のレイアウト。この2点が大きいところでしょうか。

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