クアッドコアCPU搭載一体型実現のポイントは?
湯川氏の手により、解体されていくtype R。まずスタンドを外して、背面パネルを止めるネジを外していく。
――「一体型でいこう。でもフラッグシップたりうる高性能を入れ込もう」と、そうなったとき、解決しなくてはならない技術的課題というのは、相当に多いと思います。新type R実現のための技術的課題というのは、どういった点が挙げられるでしょうか。
湯川 企画のスタート時点では一体型でクアッドコアCPUを搭載したものはなかった。私はずっとVAIOの一体型を担当し続けているのですが、初期の一体型はいわゆる「デスクトップアーキテクチャー」でした。それがtype Lで「ノートアーキテクチャー」の一体型を作って、メカ設計も電気設計もノウハウを蓄積してきました。その蓄積により、ハイパフォーマンスな一体型を作るために「必要十分なものの選択肢はどこか」という議論が練られてきたという面があります。
具体的には、メモリーはノート用のSO-DIMMを使いながら、チップセットとCPUはデスクトップ用を使う。あるいは、電源部はどうしたら高い出力を持ちながら、熱の問題を出さずにケースの中に内蔵できるのかなどですね。
――そういえば、これは電源も内蔵なんですね。
湯川 液晶パネルも大きなものを使えるようになってきたので、デバイスはどのようにレイアウトしたらいいのかや、放熱設計はどうしたらいいかとか、イメージが湧いてきた。ハイパフォーマンスでありながら薄く見せるという点に、自信を持って臨めるようになってきたのです。
――確かに液晶パネルは大きいですが、この中にクアッドコアCPUとディスクリート(外付け)GPUを入れて、HDDも2台内蔵。それを動かせるだけの電源も入れて、放熱もきちんとできるようにする……そう簡単に作れるものではありませんよね。
湯川 例えばヒートシンクにしても、小さくても開口部や空気の取り込み口の工夫や、新しいヒートシンクの考え方など、いろいろなノウハウが詰まっています。
――熱設計においては、なにがポイントになったのでしょうか。
湯川 空気の流れをおおざっぱに説明しますと、下から上へと流れています。ディスプレー下部から温度の低いフレッシュな空気を大量に取りこんで、空気が内部で循環することないように、ストレートに熱源を通って上にあがっていく。一番単純な熱設計の考え方を守っています。
もうひとつは、熱源を分散させて、冷たい空気を吸って熱源を通り、ほかに影響することなくまっすぐに出す内部のレイアウト。この2点が大きいところでしょうか。