ネット上で議論を呼んでいる「Googleマップ ストリートビュー」のプライバシー問題(関連記事1、関連記事2)。グーグルはこの問題をどう考えているのか? 9月29日、プレス向け説明会に登場した米グーグルの法務担当副社長Kent Walker氏が記者らの質問に答えた。
グーグルは原則として毎週月曜日、プレス関係者を集めて定例説明会を開いている。Googleの膨大な新サービスについて、各サービスの担当者の口から紹介しようというもので、これまでに4回開かれている(ちなみに筆者が参加したのはこれが初めてである)。
今回の説明会のテーマは「Googleのポリシーとプライバシーについて」。イベントでの講演のために来日したWalker氏のスケジュール上、説明会の時間は全部で45分ほど。15分弱の簡単なスピーチのあとの約30分ほどが質疑応答に割かれたが、そのほとんどはストリートビューに関連したものとなった。以下、主なやり取りをQ&A形式でお届けする。
事後申請を重視――事前許可はありえない?
――ストリートビューの撮影にあたって、撮影していることが周囲から分からないのが問題ではないかとの声がある。事前に周知する工夫はできないのか。
Walker氏 いい提案だと思う。我々も周知の仕方についてはいろいろと検討してきた。ただ、より重要なのは、「載せてほしくない画像を削除してほしい」といった申請に対して、きちんと対応できる体制を整えることではないかと考えている。
たとえば100年前、航空機が飛び始めたときに、住宅の上空を飛ぶことが不法侵入になるのかどうか、法律ではなかなか判断できなかった。ただ、すべての住民の許可をとるのはありえないことで、「とても現実的ではない」と判断されたわけだ。
我々は、新しいサービスやテクノロジーを世の中に広めていくのに何がベストかを考えている。
――プライバシー保護に対する基本的な方針を確認させてほしい。何を保護する対象としているのか。
Walker氏 現在は自動車のナンバープレート、人物の顔がぼかしの対象になっているが、民家の表札についても要望をいただいている。今後の検討課題だ。
ストリートビューの撮影対象は基本的に公道だけ。たとえば軍事施設やゴミ処理施設など、地域の法律やルール上問題になる地点の撮影はしない。地域の決まりに従う。その上で、何らかの問題があれば要請に応じて削除するのが基本的なスタンスだ。
――ネット上では「公道以外で撮影された画像がある」との指摘もある。撮影者に対してはどのように指示をしているのか。
Walker氏 ドライバーには運転前にグーグルのトレーニングを受けてもらっている。もちろん、「公道以外は撮影しない」が基本だ。現場では、標識と地図でベストな判断をしているが、まれに公道と私道の区別が難しい場合もある。そうした道路に関する情報を、もしお持ちであれば、ぜひ我々に教えていただきたい。何らかのミスがあった場合には、削除で対応させていただく。