今度は特殊車両の見学
シールドマシンの先端を見た後は、海ほたるやアクアラインで活躍する車両の見学。
1台目は、高速道路などで事故や渋滞が発生した際に活躍するNEXCOの車両だ。高速道路を走ったことのある人の多くは目にしたことも多いであろうこちらの車両は、毎日500km弱の道を走って、ほぼ24時間、アクアラインの道路上に落下物がないか、交通事故が起きていないか、アクアラインが破損しているようなことはないかといったことに監視の目を光らせている。
続いては、海ほたるに3台常設されているアクアトンネル用の消防車。この消防車通常の街で見かける消防車とは形状も装備も大きく異なる。先ほど見学したアクアトンネルの下を通る避難通路。高さは275cmしかないため、一般的な消防車は走ることができないという。そこで、開発されたのがアクアライン用の小型消防車。同消防車1号車は事故発生時に取り残された人の救出や緊急搬送を想定した設計で、定員はなんと14人。その分一般の救急車に搭載されている医療機器を大幅に減らしているのだが、海ほたる側や川崎側の浮島まで搬送する間の短時間のみの運用に特化しているが故の設計となっているようだ。
2号車は、レスキュー隊が使用する車両で、エアーボンベや油圧式カッターなど人命救助に必要な機器を搭載している。また、3号車は、一般的にいうところの消防車なのだが、ホースは積んでいてもポンプは搭載していないとのこと。これはアクアトンネルが火災になり避難路から消火作業を行わなくてはならない時には、300mごとに消火栓が設置されているため不要だという。とはいえ、車両火災などの場合、水だけでは消火できないので、ガソリンなどの火災を消化するための消化剤は搭載しているそうだ。
ちなみに消防署員は海ほたるに常駐しておらず、火災が発生した場合、千葉、神奈川それぞれの消防隊が出動し、通常の消防車両を使っての消火作業では対応できない場合など、必要に応じてこれらの消防車運用することになっているとのことだ。
そして、風の塔へ……
この日の最後の見学は、海ほたるから川崎方面に約5kmほどに位置する人工島「風の塔」の見学。この風の塔は、全長約10kmに及ぶトンネルの空気の入れ替えを行なう換気施設となっている。
風の塔は、もともと島があった場所に換気塔を建てたのではなく、まったく何も無かった海を埋め立てて直径約195mの島を作ったところに塔を建てた人工建築物。ちなみに正式名称は「川崎人工島」というのだ。2本の換気塔が見えるが、大きいほうの高さが海上から約96m、小さいほうが約81mとなっている。
この風の塔、通常、5km近く離れた海ほたるから遠目に小さく写る姿を確認するのが精一杯だ。しかし今回の「アクア探検隊」に参加した探検隊員たちは、海上保安庁第3管区海上保安本部千葉海上保安部に所属する精鋭隊員たちの乗る「PC-23 あわなみ」に乗船し、普段は近づくことの許されない風の塔ギリギリまで近づき、海上に聳える巨大な人工建造物を眺めることができた。
風の塔を一周した探検隊を乗せた「あわなみ」は、再び海ほたるへと舵を切り、こちらも普段はその上を通ることしかできないアクアブリッジの下を通り抜けて、海ほたるに接岸し、探検隊イベントは終了となった。
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