まずは床版下避難路を探検
トンネル内の気圧は、これまでに取材で歩いた海底トンネル同様、本道よりも若干気圧が高くなるように設計されているため、出入りの際に扉を開けると中から空気が吹き出してくる。気圧が高くなっている理由であるが、それにはまず、この床版下避難路の役目について説明する必要があるだろう。この避難路は、アクアトンネル内で大規模な事故が発生し、火災や有毒ガスが生じた場合、トンネル内に閉じ込められた人が救援が到着するまでの間の退避、状況によっては避難することを目的としている。そのため、内部の気圧を高くすることにより、火災によって発生した煙などの有害物質や炎がが避難路に入り込まないようにしているのだ。
そんな避難路だが、普段車両でアクアラインを通行している際には目に触れることのない様々な機器が設置されている。
まずは、一見滑り台に見える本道から避難路に降りてくるための装置。素人考えでは階段のほうが便利そうに思えるが、階段ではあわてて将棋倒しになってしまったりすることを防止する意味もあるとのことだ。ちなみにこの避難用の滑り台は約300mごとに設置されている。また、非常事態の発生を知らせる非常電話が、本道以外にもこの避難通路にも滑り台と同じ間隔で設置されている。
このほかにもトンネル本道には火災検知器や24時間常に異常がないか監視し続けるITVカメラ(監視カメラ)といった機器が設置されており、毎日の安全な交通体制の維持を心がけているのだ。聞いた話では同トンネル内では、開通からの10年間に6回の火災が発生しているが、これらの機器が使用されたことはないとのこと。
これで、地下施設の見学は終了。小学生向けのためか、歩いた距離も今年の2月に行った青函トンネルや昨年の副都心線に比べると非常に短かったので、楽勝だ。この後、入ったときと違う扉を使って、避難路を後にしたのだが、その先に待っていたのは……階段!
どれくらい歩くのか、確認する間もなく上り始めた一行。数は覚えていないが多分5、6階分の階段を上がったところで次の目的地へと足を踏み入れた
(次ページへ続く)