業務アプリのUIがデスクトップアプリケーションを超える
マイクロソフトは「RIA開発における、チームの開発生産性向上に貢献したい」(朝岡氏)という。そのために、Silverlightはデザインとプログラムの分離にこだわっている。ファイルもツールも、「作る人」に合わせて分離されていて、それぞれが適したものを使い、必要に応じて連携できる――マイクロソフトがSilverlightを“アプリケーションでの利用”に適していると訴えるゆえんだ。
こうしてSilverlight開発のメリットが開発者の間に広まっていけば、リッチなWebアプリケーションの数はどんどん増えるだろう。数だけではなく、バリエーションも広がり、これまでになかった新たな視点のWebアプリが登場するかもしれない。開発者サイドのメリットが、結局はエンドユーザーのメリットになっていく。
Silverlightは当初、インターネット上の動画配信サービスから採用が始まったため、「WebアプリケーションのUI」というマイクロソフトの視線の先にある意図は意外に知られていない。それ以前に、著者の周辺では「Silverlightって何?」という人がまだまだ少なくないし、プラグインすらインストールしていないユーザーも多い。時間が解決する問題かもしれないが、普及にはSilverlightの特性を生かしたアプリケーションの登場が不可欠だ。Silverlightがどこまで開発者やデザイナーを巻き込みながら、魅力的なRIAを世に送り出していけるか――。まずは、 Silverlightが本領を発揮すると言われる「Silverlight 2」の年内の正式リリースが待たれるところだ。
お詫びと訂正:記事中、マイクロソフトの朝岡氏の肩書き(部署名)が取材当時のままでしたので、8月現在のものに修正しました。お詫びして訂正いたします。(2008年8月11日)