大きなクリスマスツリーに飾られたたくさんのオーナメント。ツリーをクリックするたびに、だんだん大きく広がっていくオーナメントには、みんなの願いが綴られている――。
こんなクリスマスキャンペーンサイトを開設したのが、中部国際空港(愛称「セントレア」)だ。「メッセージの森」と名づけられたこのWebサイトは、“願い”を込めたメッセージをネット上で募り、オーナメントとして掲載している。更新は12月10日まで、毎週水曜日までに投稿されたメッセージは翌週の金曜日夜に掲載される。
このサイトで使われているのが、マイクロソフトのRIA(リッチ・インターネット・アプリケーション)技術である「Silverlight 2」の機能「Deep Zoom」だ。実際のサイトを訪れてもらえると体感できるが、画像のズームイン/アウトや上下左右へのスクロールがとても軽快かつスムーズ。FlashやJavaScriptを使ったこれまでの同種のアニメーションではなかなか見られない動きだ。
Deep Zoomは、超高解像度の巨大な画像をあらかじめ細かく分割し、異なる解像度ごとに大量の画像ファイルとして用意しておいたものをつなぎ合わせて表示している。ちょうどこのツリーのように、拡大させたいポイント(メッセージカード部分)だけを別の高解像度画像として用意し、ツリーの画像と重ね合わせて1枚の画像のように見せることも可能だ。Deep Zoom特有の動きのよさだけでなく、今回のサイトのように制作後に定期的な更新がある場合でも対応しやすいメリットもある。
海外ではHard Rock Cafeの特設サイトなどの採用例があるDeep Zoomだが、国内の商用サイトではまだ珍しく、「メッセージの森」の事例はなかなか興味深い。Deep Zoomを使ったサイトの一例として参考になる。
ちなみに、実際にDeep Zoomを試してみたい、という場合はマイクロソフト謹製の「Deep Zoom Composer」が無料で利用できる。手持ちの画像データから、GUI画面による簡単な操作でDeep Zoomアニメーションを作成できるツールだ。ぜひ試してみよう。