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デジカメ画像を30分で3Dに!CNNも使うMS新技術 (1/2)

2009年03月03日 06時00分更新

文●小橋川誠己/企画報道編集部

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Photosynth

CNNが米大統領の就任式に合わせて開設した「The Moment」(CNN.com「The Moment」より)

 大勢の来場者の前で、スピーチに立つバラク・オバマ米大統領とそれを見つめる人々。一見、大統領就任式の様子を写した単なる1枚の写真に見えるこの画面上でマウスをドラッグ&ドロップすると、画像が滑らかにスクロール。マウスホイールを動かすと、ズームイン/ズームアウトする――。

 まるで就任式の会場を実際に歩き回るような感覚で次々に写真を見られるユニークなWebサイトが先月、ちょっとした話題になった。米CNNが開設した「The Moment」という特設サイトだ。

The Momentは会場内を歩き回るような感覚で操作できる。遠くから眺めたり(左上)、下から仰ぎ見たり(右上)。さらに、大統領に近い視点から逆に観衆を臨む画像も(左下)


 いったいどんな特殊機材で撮影・制作されたのかと思うこのサイトだが、実際に使われたのは普通のデジタルカメラ。それも、不特定多数の一般人が撮影した数百枚の写真を寄せ集めて、つなぎ合わせたものだと言ったら驚くのではないだろうか。それを実現したのが、米マイクロソフトの新技術「Photosynth」だ。


大量の写真画像から立体空間を作り出す「Photosynth」

Photosynth

マイクロソフト(日本法人)のサイトにある「Photosynth」の解説ページ

 Photosynthは、同じ場所(被写体)をさまざまな角度で撮影した複数の写真を連続的に組み合わせて、立体空間を作り出す画像合成技術。それぞれの写真に共通する特徴点を自動解析で見つけ出し、巨大なパノラマ写真のようにつなぐとともに、カメラから被写体までの距離や角度といった位置関係を洗い出し、立体的に配置する。ユーザーのマウス操作に合わせてそれらの複数画像を滑らかに切り替えることで、あたかも3D空間を移動しているような感覚を覚える仕掛けだ(技術的な説明はマイクロソフトの解説ページを参照されたい)。

 感覚的には、昨年何かと話題になった「Googleマップ ストリートビュー」のような画像が作れる技術、といえば分かりやすいだろう。Photosynthのすごいところは、そんな画像の制作にあたって、高価な専用機材が一切不要なことだ。しかも、あらかじめ位置や角度を綿密に計算して写真を撮る必要もなく、適当に撮ったものだけでもある程度の“量”(枚数)さえあれば、Photosynthがうまい具合につなぎ合わせてくれる。CNNのThe Momentがまさにそのいい事例だ。

 Photosynthは、マイクロソフトの研究開発部門「Microsoft Live Labs」と、同社が買収した米シードラゴンの技術によって開発され、今から2年ほど前にSiggraphで発表された。昨年8月にはブラウザー上でこの技術を利用できる同名のオンラインサービスが一般向けにリリースされ、現在では誰でも自由に「Synth」(Photosynthを使ったアルバムコンテンツ)を無料で作ってネット上に公開できる(ただし、閲覧やSynthの作成には専用のブラウザープラグインが必要)。次ページではその使い方をざっと紹介しよう。

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