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「Tour de Force Tokyo」レポート

「ソフトかクラウドか、開発者は選ぶ時代だ」セールスフォース

2008年07月08日 23時24分更新

文● 小橋川誠己/アスキーネタ帳編集部

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 セールスフォース・ドットコムは、7月3日、東京・目黒雅叙園で「Tour de Force Tokyo」を開催した。同社が開発者向けに開催したイベントとしては過去最大規模。午前中の基調講演に登壇したマーク・ベニオフCEOは、開発者らにPaaS(Platform as a Service)への参加を熱く呼びかけた。

Salesforce.com マーク・ベニオフ

米セールスフォース・ドットコム会長兼CEO マーク・ベニオフ氏


インフラへの投資を不要とするForce.com


 「すでに、新しいプラットフォーム、クラウドに移行するための準備はできている。あとは皆さん自身の準備ができているかどうかだ」。米セールスフォース・ドットコム(SFDC)の会長兼CEO マーク・ベニオフ氏は、会場に詰め掛けた開発者らにこう問いかけた。

 SFDCは昨秋、アプリケーションプラットフォーム「Force.com」を発表した(関連記事)。開発者がSFDCのインフラを使って独自のビジネスアプリケーションを開発・展開できる仕組みを構築。いわゆる“クラウド・コンピューティング”のプラットフォームとして、開発者に利用を呼びかけている。Force.comは、データベース「Force.com database」、開発言語「Apexコード」、UI開発ツール「Visualforce」、統合開発ツール「Force.com IDE」などで構成され、無償で利用可能。さらに、開発したアプリケーションは「AppExchange」で公開、販売もできる。

Salesforce

「Force.com」では、SFDCが用意したさまざまなリソースを利用することができる

 なぜ、開発者は“クラウド”に移行するべきなのか。ベニオフ氏はその最大の理由を、「インフラの共有」にあると説明する。

 「10年前、当社自身がCRMのサービスを作ろうと考えたときに、アプリケーションの開発はさほど大変ではなかった。だが、シスコからスイッチを、日立からはストレージを買い、データベースやアプリケーションサーバ、Webサーバを調達する必要があった。さらに、バックアップやセキュリティ、負荷分散の仕組みも構築しなければなかった」(ベニオフ氏)。

 Force.comを使えば、自社でこれらのインフラを用意することなく、すばやくアプリケーションを開発し、ネット越しにサービスを提供できる。それがメリットだという。ユーザー管理やワークフローといった、各アプリケーションで共通してまかなえる部分は、Force.comが提供するAPIを利用することもできる。さらに、データベースのチューニング、バックアップ、セキュリティパッチの適用といった運用は同社が肩代わりする。

 「我々はインフラにこれまで3億ドル以上を投資してきた。1日に1億5000万トランザクション、1秒間に16万のSQL文を処理している。すでに9年間の運用実績もある」と胸を張るベニオフ氏。いわば、SFDC自身の成功体験を凝縮したのが、Force.comだという。

 「我々は今後10年間、インフラ、プラットフォームに集中する。開発者は、ビジネスアプリケーションの中核部分だけに集中したらいい。それが我々のメッセージだ」。

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