セールスフォース・ドットコムは、11月2日、都内のホテルで同社主催のプライベートイベント「Successforce LIVE 2007」を開催。会場には過去最大規模となる2500名近くの来場者が駆けつけた。
Force.comで「イノベーションに専念してほしい」と呼びかけ
「3年前にセミナーを開催した際には100名を集めるのに非常に苦労したが、本日は2500名もの方が事前登録されている」――。「Successforce LIVE 2007」開幕の挨拶に立ったセールスフォース・ドットコム代表取締役社長の宇陀栄次氏は、こう切り出した。宇陀氏の言葉どおり、広い会場に用意された座席は多くの参加者らでぎっしり。日本でも本格的な盛り上がりを見せるSaaS市場と、市場のリーダー的存在である同社への期待の高さを印象付けるものとなった。
イベントの目玉は、今年9月にサンフランシスコで開催したイベント「Dreamforce 2007」で発表されたアプリケーションプラットフォーム「Force.com」だ。同社はその名のとおり、もともとSFA(営業支援)システムをオンデマンドで提供するサービスからスタートしているが、最近では「PaaS」(Platform as a Service:サービスとしてのプラットフォーム)と呼ばれるコンセプトを提唱。Force.comは、同社のインフラ、データベース、プログラミング言語などを使い、パートナーやユーザー企業が新たなアプリケーションを開発・提供できるようにしたものだ。
基調講演に立った米セールスフォース・ドットコムの共同創業者兼テクノロジー統括責任者のパーカー・ハリス氏は、「我々は9年間、オンデマンドアプリケーションを提供してきた。これからは、プラットフォームもオンデマンドで提供していく」と宣言。「インフラのことを考えず、競争力強化につながる“イノベーション”のためにすべてのエネルギーを使って欲しい」と呼びかけた。
また、宇陀氏は、「日本が国際競争力を高めるためにも、この新しいビジネスモデルで貢献したい。地方やハンディキャップのある方々にもビジネスチャンスを提供するまでに発展させたい」と述べ、Force.comがSaaSによるビジネスの裾野を広げるものだとアピールした。
Force.comの注目は、Dreamforceでも話題を呼んだ新機能「Visualforce」だろう。Visualforceは、Salesforceのユーザーインタフェイス(UI)をカスタマイズする機能で、これまで固定されていたメニューバーの表示/非表示を含め、自由な画面設計を実現する。これによって、特定業務向けのシンプルな操作画面や、携帯電話・キオスク端末など向けの画面を簡単に作り込めるようになるという。
「特に日本には非常にユニークな携帯電話の文化がある。Visualforceでは、携帯電話に対応したアプリケーションや、自社のビジネスに特化した新しいアプリケーションも作れる。PaaSの世界がVisualforceで完璧のものになる」(ハリス氏)
このほか基調講演では、Salesforceの新バージョン「Winter 08」で追加される予定の新機能として、情報共有機能「Salesforce Ideas」、コンテンツ管理機能「Salesforce Content」などを中心に紹介。また同日には、ユーザー/開発者向けのコミュニティサイト「Successforce IdeaExchange」の日本語版を開設したことや、新たにSalesforceを小田急電鉄、中部テレコミュニケーション、楽天フィナンシャルソリューション などが採用したことを発表した。