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全国研究室探訪 第1回

秒速10kmのレーザーガンでディープインパクトを再現!

2008年06月30日 13時00分更新

文● 川口友万

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衝突蒸気雲とクレーター

 現在、大阪大学のレーザー学エネルギー研究所と共同で、核融合用のレーザーを使って秒速20kmの銃を作っている。「隕石の衝突速度はだいたい秒速20km」(松井教授)なのだそうである。

この装置の中心にあるボックスがレーザーを射出する部分。アルミでグルグル巻きにされたパイプの中を、金属箔がもの凄い勢いで突き進む

「ガスが蒸発していって、温度・圧力条件が刻々と変わる中でどう測定していくか。物理的条件と化学的条件を同時に求めていかなければならない。これは難しいです」

 そうした変化はナノ秒単位で起きるためだ。

「衝突蒸気雲の中で生命の材料は作られたと我々は思っている。そういう意味でも原始の地球大気中で何が起こったのかを見ようと思うと、こういう実験をやることで新しいことがわかる。地球大気も元々窒素大気でしょ? そういうところに衝突があったとすると、どんな風に生命の材料が作られるか? それがわかるかもしれない」

 ちなみに衝突蒸気雲というのは、天体が衝突したときに、高温のために瞬間的に地殻や天体の構成物質が蒸発してできる雲のことである。

松井研

紙にできているシミのような模様はレーザーと金属箔がぶつかった跡だ

松井研

レーザーガンの仕組みを解説してくれた、関根康人さん

松井研

レーザーガンをメンテナンスする学生たち

 恐竜の絶滅した原因はウイルスや哺乳類に卵を食べられた、植生が変わって便秘になったなどいろいろ言われているが、やはり原因は隕石。ユカタン半島に落ちた隕石が恐竜を全滅させたというのが定説だ。

 しかし、隕石が落ちて粉じんが地球を覆って氷河期になって恐竜全滅、という単純な構図ではないらしい。

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