ダイエットコーラにメントスを投入すると、突如大量の泡が吹き出てくる映像を見たことがあるだろうか。メントスコーラは氷山の一角、Youtubeなどの画像投稿サイトにはこの手の変な実験が毎日投稿されている。その中で見つけたのが光るピクルスの実験。家庭内のコンセントから電気を直接ピクルスに流す。するとピクルスが光るのだ。さすが西洋の漬物、ハイカラな芸風である。
ピクルスは塩水と酢とその他もろもろにキュウリを漬けてあるので、塩っ気がたっぷり。電気はピクルスの中の塩水を媒体に進むが、相手はキュウリなので抵抗があり、電気が熱に変わる。塩水も蒸発を始め、あちらこちらでキュウリの身が燃え始める。
キュウリが燃えると灰になる。灰は炭素だ。炭素でできた電極の間に高圧電流を流すと炭素が蒸発する。蒸発した粒子を伝わり、電極間にすさまじく明るい放電が走る。この現象をアーク放電という(白熱電球が切れる瞬間、ピカッとすさまじく明るく光るが、あれもアーク放電)。
電気をピクルスに流すとピクルス内部にできた灰の部分を電極にしてアーク放電が起こり、ピクルスが光るというわけだ。
本当に光るか、ピクルスに電流を流してみる。まずはぶすぶすと内部の液体が沸騰を始め、映画のグリーンマイルの電気椅子を思い出した。ピクルスでよかった。やがてピクルスはブブッブブッと音を発しながら内側から光り始めた。光るピクルス、なんともいやらしく不思議な光景である。
それにしても臭い。燃え上がる酢漬けとはこんなに酸っぱい臭いなのか。空気が腐ったみたいだ。筆者と撮影にあたった編集者Aの二人は、臭い臭いと悲鳴を上げるばかりだ。
かくして西洋生まれのピクルスがハイカラに光るのは分かった。では日本生まれはどうか。日本版ピクルスといえば、たくあん。さっそく電流を流してみた。
たくあんはピクルスほどの水分は含んでいないし、なにしろ室町時代生まれの食べ物である。侍は電気で光るようなはしたない真似はしない! と思いきや、電流を流すとあっさり光った。ピクルスより明るいんじゃないか、これ? 発酵食品だけに発光するとでも?
さらに部屋が臭くなった。ピクルスの酸っぱい臭いにたくあんの甘い発酵臭が混じり合い、ワインのソムリエならこれを何と表現するだろう。濡れた老犬の口の臭い、とか?
(次ページはあの軟体生物に挑戦だ!)