携帯電話やノートパソコンのバッテリートラブル。最近は報道を聞かなくなっているが、その余波はいまだに広い範囲に及んでいる。例えば2006年にあったNTTドコモのバッテリーパック膨張報道を覚えているだろうか。かいつまんでいうと、特定の携帯に採用された数社のバッテリーパックが膨張するというものであった。そして筆者は今になって、見事に該当機種だったことが判明した。ネットを見ると、同様に携帯のバッテリーが膨張して驚いたという人は、いまだに多いようだ。
ことの経緯は、両親に渡してある携帯の電源が、しょっちゅう落ちるというトラブルから始まった。調べてみると、バッテリーパックが異様に膨らんでいる。
もちろん、そんな報道があったことは知らないので、すぐさま頭に浮かんだのは、数々の発火や回収事件。特に、ノートパソコンのリチウムイオン電池である。例えば、ハイパワーなCPUを駆動するために使われるリチウムイオン電池のエネルギー密度はハンパではなく、走行中の軽自動車に踏ませれば軽く吹っ飛ぶ、というような話を仕事柄(?)聞いたことがある(事実かどうかはわからない。誇張もあるだろう。ただし危険であることは確かなので、決して試したりしないように)。そのパソコンのバッテリーですら、膨張したという話は聞いたことがない。そこで次に頭に浮かんだのは、いかに爆発から身を守るかという妄想の類である。
まあそんな冗談じみた話はさておき、冷静になって調べて分かったことがある。それは、携帯電話のバッテリーは、経年で膨張し寿命に達することがあるということ。加えて、冒頭に触れた、報道が当時伝えた内容だ。それによると、携帯電話を購入してまだそれほど時間がたっていなくとも、短時間で充電を繰り返すなどユーザーが不適切な使い方をすると、バッテリーパックが膨張して寿命になることがある――とドコモでは言っているらしい。これも報道によるが、それゆえにドコモは、「これは不具合でもなければ、回収の対象でもない」のだという。
善良なパソコンユーザー(ある意味、さんざんメーカーの理不尽さに慣らされてしまって、達観の域に達したパソコンユーザー?)から見れば、まあ、バッテリーは消耗品だからしょうがない、ということになるのだが、そこから先が変な話だ。なぜかドコモは、購入後1年以内に現象が発生した当該機種ユーザーのみを対象に、アフターサービスということでバッテリーの無償交換に応じているというのである。なんだか、釈然としない話ではある。
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