「『Silverlight 2』なら僕でも作れるかも」――古谷 徹さん
続く第2部では、実際にSilverlightアプリ「Visual Studio Robot」(VSR)を開発したスタッフの本音に迫るトークセッションが行なわれました。
パネリストとしてVSRの制作スタッフから参加したのは、プログラマー岩井 雅幸さんとプロデューサー宮田 雅章さん。そして特別ゲストとして、VSRのオープニングナレーションを担当した声優の古谷 徹さんも加わりました。古谷さんは「2度もぶった! 親父にも──」とおなじみのアムロ・レイの名台詞とともに登場して会場を沸かせました。なお、モデレータはアスキー総研の遠藤 諭が務めました。
「企画がスタートしておよそ3カ月で正式公開にこぎ着けましたが、初めて触れるSilverlightに戸惑うことも多かったです(笑)」と振り返った岩井さん。開発途中になって、「Silverlight1.0では日本語が使えない」という事実が発覚し、「日本語部分についてHTMLとJavaScriptを組み合わせることで何とか切り抜けた」というエピソードを告白しました。
その上で、岩井さんは、「プログラムとデザインを分離して作業できるのにツール上での連携が容易なのは大きな利点」とSilverlightの魅力について強調。「コンテンツがリッチになればなるほど“分業”が必要になってくるはず。これからもWebコンテンツの開発に携わるクリエーターのみなさんには、このSilverlightは利点が多いのでは」と話しました。
実際、VSRでも企画進行とプログラム、デザイン、音楽開発はすべて完全分業で行なわれたそうです。「Webゲームではいくつかの役割を兼業することも多いのですが、このVSRは通常のゲーム開発に近く、適材適所でスタッフを配置し、プロジェクトを進行できました」(宮田さん)。
岩田さんが実際のVSRの開発環境を公開するデモも行われ、Expression Blendを操作すると、司会役の遠藤も「プログラム部分はテキストベースでコーディングできるんだ。ソースの使い回しとかも簡単そうですね」と興味を見せていました。
また、間もなく登場するSilverlight2では、新たに開発言語としてVisual Basic(VB)もサポートされる予定となっています。このことに話題が及ぶと、声優界きってのパソコン通であり、VBでのプログラミング経験を持つ古谷さんは、「VBが使えるようになれば、僕もSilverlightのソフトが作れるかも」と期待を寄せていました。
さらに、普段の業務ではゲームソフトの企画が多いという宮田さんは、「今後は、SilverlightのようなRIAによってブラウザゲームの質が上がっていき、一般のユーザーにも広く認知されていくと思う」と発言。VSRのようなブラウザゲームがリッチコンテンツの1つの主流になると予想しました。
VSRを題材としたこのトークセッションでは、制作サイドからの“分業”というキーワードが多く聞かれました。特に大規模なWebコンテンツの制作では、今後、制作者が分業に柔軟に対応できるSilverlightの採用が増えるかもしれない――そんな予兆が感じられました。