差分を取り出しデータ化するのが
DivXだったりMPEGだったり
高画質にかつコンパクトにムービーを作る要となるのが、先の説明でも明らかなように差分をデータ化する部分だ。注目中のコマとその前後のコマを比較して、あらゆる手段を使って差分を見つけ出す。
たとえばこんな差分を比較する。
・画面で同じ位置の一部の映像が変わった
アナウンサーの口が動いたり、写っているものの色が変わった場合など。また上下左右の縁からモノが映像中に入った瞬間。
・画面に映っているモノが移動した
同じ形のものが、画面中の上下左右に動いた場合。車が走り抜けたり、人が歩いたり(実際には足と手に変化がある)など。
・画面全体が上下左右にパン・チルトした
走っている車や人をカメラが横から追いかける場合など。
3例は、その代表的なものにしか過ぎないが、その差分の抽出を数学的なアプローチから単純方法までさまざまな方法を組み合わせて行なう。もちろんパソコンが差分抽出を行なうので、それらはプログラム化されている。
この差分検出の違いとアプローチ方法こそが、画質の差や圧縮率の違いを産み、それがDivXやMPEGというわけだ。このようにムービーの圧縮を行なうソフトを「エンコーダ」と呼んでいる。
ファイル圧縮ツールには、lzhやzip、Staff ItにRARなど様々ある。圧縮に使ったソフトに対応した解凍(伸長)ツールがなければ、中のファイルを取り出すことができないのと同様、ムービーファイルも圧縮に使ったエンコーダに対応するソフトがないと、メディアプレイヤーで再生できないのだ。そしてエンコーダで圧縮したデータを解凍するソフトをムービーでは「デコーダ」や「コーデック」と呼んでいる。
一般的には「コーデック」と呼ばれているが、圧縮と伸長が1つのソフトでできるため。Encode(エンコード)のCodeとDecode(デコード)のDecを取って、Codec(コーデック)と呼んでいるのだ(稀に再生専用のコーデック、つまりデコーダの場合もあるから、面倒なんだが……)。
つまりメディアプレイヤーにムービーファイルをドロップして再生できるものは、対応するコーデックがインストールされているからというわけ。逆に言えば、メディアプレイヤーでDivXを再生できれば、あとフリーソフトを1本インストールするだけで、DivXのエンコードだってできる! 再生機能だけ使って、エンコードをしたことがない人がほとんどじゃないだろうか? そりゃ、もったいない!
(次ページへ続く)
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