実はMacBook Proで動作するほど「軽い」
種明かしで皆川氏が教えてくれたスゴさは、「リアルタイム処理」と「撮影環境のセッティングが不要」という2点だ。
リアルとCGを自然に組み合わせるためには、まずカメラがどの方向でリアルの風景を撮影しているのか、合成システムが推定できるようにしておかなければいけない。従来は、あらかじめ特殊な形のマーカーなどを風景の中に置いておき、そのマーカーがどの角度から見えるかによって空間の水平/垂直方向を判断していた。
このデモではそうした下準備は一切ナシでOK。その上で、すべてをリアルタイム処理で行なっているのが「最先端」なのだ。移動中の電車でも、龍安寺の枯山水でも、その場で撮影した映像の上に3Dモデリングを乗せて動かせる。
以下は、先の動画を切り出した画像だ。
しかもこの合成システムが動いているのは、高額なハイエンドのデスクトップではなく、市販されているデュアルコアのノートパソコン(MacBook Pro)というのだから、プログラムの優秀さに驚いてしまう。
それもそのはず。このデモ動画のプログラムは、2007年11月に奈良で行なわれた、画像/映像処理に関連する学会「ISMAR 2007」にて、最も優れた発表に送られる「Best Paper Award」を受賞している。開発したのは、オックスフォード大学の学生2人だ(関連リンク)。
「このデモ映像は、彼らが学会(ISMAR)に行く途中に撮影したものを元に作っていると思われます。こんな高速に、しかもマーカーなしで動く手軽さに『えー!!』という衝撃を受けました」(皆川氏)
