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秒速10人! 始業時の入館証渋滞もこれで解消

通過するだけで本人確認できる「顔認証」

2008年03月24日 00時00分更新

文● 野口岳郎 写真●明田和也

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月刊アスキー 2008年4月号掲載記事

顔データベースに一致しない人が通りかかると、警報装置が赤く光り、警告音が鳴る。オフィスの入り口に設置すれば、周囲の人間が振り向くため、不審者がそのまま素通りすることはない。立ち入りを完全に阻止したい場合は、別途扉などの設置が必要になる。

 大企業ではすっかり普及した入退室管理システムだが、主流のカード方式は、1人1人をさばくのに時間がかかり、大きな事業所では始業間際には行列になることも少なくない。扉を閉めないと次の認証ができないため、1人が認証したら数人がくっついて入る「共連れ」が常態化しているケースもあるようだ。

 芝電子システムズが3月に発売する「顔認証入退室管理システム」は、その名のとおり、出入りする人の顔を認識し、顔データベースと照合することで本人確認を行うシステムだ。利用者は、カードを出してかざしたり、カメラをのぞき込むとか指を読み取り機に当てるといった作業が不要になり、普通に歩くだけ(ウォークスルー)で認証が済むため負担が少ない。また、1回(1画面)に5人、1秒間に2画面の認証が可能なため、理論上は毎分600人という高い処理能力が実現できる。

静止画が残る

同時に最大5人まで、秒間2回の認識が可能だ。履歴はビデオではなく、認識した顔の静止画(と入室時刻など)が残るため、あとから確認する際も、ビデオを長時間凝視しなくてもすむ。

 歩いている人の顔で認証するシステムはほとんどなく、あっても非常に高価だという。同社は、米アリコント・ビジョン社の防犯カメラの販売代理店でもあり、このシステムでは「AV5100」というカメラを活用した。防犯用としては高い解像度(200万画素)と、暗い場面でもブレが少ない高感度が役立っている。

 誤認識の確率は3%以下。一見多いように見えるが、カードの場合は盗難・違法貸与を見抜けないし、指紋でも100%の認証は難しい。また、カードで共連れされたら、認証せずに入った人が誰なのかはわからないが、このシステムでは入退室した人の顔の画像ログが残るため、入った人全員の確認ができるというメリットもある。大企業で取得が進むISO27001(ISMS、情報セキュリティ管理システム)に必要な入退室管理用機器としての認証も得ている。

 システムはパソコン、カメラ2台、警報装置で330万円程度。大企業におけるカードからの置き換えや、中小企業での新規導入を狙う。販売目標は3年で1000セットだが、市場規模は年1万セットくらいはありそう、ということだ。

 セキュリティシステムは、とにかくチェックできればいいという時代から、運用の盲点を潰しつつ、利用者・企業側の利便性への配慮も求められる段階にさしかかった。

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