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いよいよオフィスの電話を置き換える?

ノーテルとマイクロソフトの提携で生まれたユニファイドコミュニケーション製品の実力

2008年04月24日 14時30分更新

文● 大谷イビサ(ネットワークマガジン編集部)

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4月23日、ノーテルはユニファイドコミュニケーション分野での新製品を発表した。これは2006年に発表したマイクロソフトとの協業を受けたもので、マイクロソフトの「Office Communicastions Server 2007(以下OCS 2007)」などとの連携を実現する。

便利なだけでは使われない ユニファイドコミュニケーション

 ユニファイドコミュニケーションとは、電話やメール、IM(Instant Messenger)、Web会議などの通信手段を統合(Unified)することで、ビジネスのコミュニケーションを促進させるアプリケーション。ユーザーの状態をリアルタイムで把握できる「プレゼンス」の機能が提供されるほか、既存の電話機やPC、PDA、IPテレフォニなど幅広いデバイスで利用できるのも大きな特徴だ。

 発表会において、ノーテルのエンタープライズ営業本部の佐々木美恵氏は、今までのユニファイドコミュニケーションについて「便利なんだけど、便利なだけじゃないの? と言われることも多い。しかし、ノーテルとしては、コスト削減や生産性向上といったビジネスパフォーマンスの向上を目指すものを提供できる」としている。4年ほど前にブームになったユニファイドコミュニケーションは、単に電話をIP化するフェーズ1から、さまざまなデバイスからどこでも利用できる環境を提供するフェーズ2へ。そして、今後はアプリケーションからコミュニケーションを実行するフェーズ3に移っているという。

ノーテル エンタープライズ営業本部ユニファイドコミュニケーション推進部 部長 佐々木美恵氏

ノーテル エンタープライズ営業本部ユニファイドコミュニケーション推進部 部長 佐々木美恵氏

こうしたユニファイドコミュニケーション分野において、2006年にノーテルとマイクロソフトは戦略的な提携を結んでいる。「Innovative Communications Alliance(ICA)」の名前で呼ばれるこの提携は、製品の共同開発、セールス、マーケティング、サービス開発などを含む包括的なものだ。

ノーテルとマイクロソフトの提携

ノーテルとマイクロソフトの提携

ICAのソリューションは、Active Directoryをベースに、IP電話機やIM、カンファレンス(電子会議)、コンタクトセンターなどを実現する。ノーテルの電話機やIP-PBX製品である「Communication Server 1000/2000(以下CS 1000やCS 2000)」、マイクロソフトの「Office Communicator」、「Exchange Server」や「OCS 2007」、OCS 2007内のコンポーネントである「Mediation Server」などが連携する。おもにIP-PBXやIP電話機などハードウェア部分をノーテルが受け持ち、マイクロソフトのクライアントやサーバソフトと協調動作するソリューションが多い。このICAのソリューションは、全世界ですでに600社以上の導入が実現しているという。

適材適所で組み合わせられる両者の製品

今回、説明されたのは、3月に全世界で発表された以下の4つのソリューション、製品になる。

Nortel Converged Office

固定電話とPC上のOffice Communicatorを統合するソリューション。マイクロソフトのOCS 2007とMediation Server、ノーテルのCS 1000との連携によって実現する。固定電話をOffice Comunicatorから制御したり、固定回線の着信をOffice Comunicatorにも同時着信させることが可能になる。

Secure Router 4134

マイクロソフトのMediation Serverの機能を統合したブランチ(拠点)オフィス向けのルータ。PBXやファイアウォール、L2スイッチなど複数の装置を統合し、ユニファイドコミュニケーションを容易に実現する

Carrier Hosted Solution

複数のユーザーでホスティングサービスでの利用を前提としたソリューション。キャリアグレードの「CS 2000」、OCS 2007やExchange Serverと連携し、小規模事業者向けのサービスで利用するため製品。

Nortel Multimedia Conferencing

ノーテルのCS 1000とOCS 2007との連携によるマルチメディア会議機能。オンデマンド会議やリモートユーザーのサポート、セキュリティ管理など、OCS 2007の会議機能を補完する。

発表会会場で並べられたCS 1000やIP電話機、Secure Router 4134など

発表会では、海外のICAソリューション導入事例も紹介された。デンマークのジェイスク銀行(JYSKE BANK)では、顧客重視の営業方針に移行する観点から、行員のプレゼンスを確認できるユニファイドコミュニケーションを検討。複数のベンダーを比べ、最終的にはOCSの前バージョンである「Live Communication Server 2005」、Exchange Server、CS1000、そして4000台のIP電話機などを導入したという。導入後は、行員を探す無駄がなくなり、業務効率や顧客満足度も向上したという。

各ソリューションは、2008年末までをめどに順次国内で展開される予定。

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