9月9日、ノーテルは都内で発表会を開催し、ユニファイドコミュニケーションズ(UC)製品「SCS(Software Communication System) 3.0」の発表とデモを行なうとともに、チャプター11(連邦倒産法)申請以降のビジネスについて説明を行なった。
使いやすいオールインワンUC「SCS 3.0」
今回発表されたSCS 3.0は、昨今同社が力を入れてきたユニファイドコミュニケーション製品で、音声、ビデオ、プレゼンス、IM、TV会議などを統合した製品。オープンソース的な開発体制をとりつつ、グーグルやマイクロソフト、ヤフー、スカイプ、IBM(Lotus Sametime)など各社のコミュニケーションツールと連携できるのが大きなポイント。
ソフトフォンやIP電話機も完全に日本語化され、日本独自の話中転送まできちんと対応したという。また、クリアな音質を実現するHDオーディオやリモートユーザーが意識しないで使えるNATの自動検知機能なども備える。製品自体はLinuxディストリビューションを含んだパッケージで提供され、安価なサーバに導入することで動作する。
チャプター11以降の流れを整理
ご存じの通り、ノーテルは年始のチャプター11の申請後、いったんは自主再建を目指したが、最終的には上場を廃止。精算の道を選び、現在事業資産を売却している。その結果、アルテオンのアプリケーションスイッチ事業をラドウェアに、CDMAやLTEなどの事業はエリクソンに売却し、残りのエンタープライズ系事業もアバイアに売却する見込みとなっている。
日本法人社長のレイ・テスク氏によると、8月10日付けでCEOのマイク・ザフィロフスキー氏が辞任し、現在各事業ユニットは財務とリストラクチャリングを請け負う責任者に直属という状態になっている。また、Nortel Business Services Groupという組織を新設し、各事業の以降をサポートしつつ、顧客へのサービス維持を図っているという。最終的には、9月の中旬には買収先が承認され、破産法の手続きが終了したのち、新会社から製品のロードマップ等は発表される予定となっている。今回発表されたSCS 3.0もエンタープライズ事業の動向を受けることになるが、すでに販売代理店のめどはついているという。
売却先でもノーテル製品の遺伝子は残るのかという質問に対して、レイ氏はあくまで新会社が決めることであると断った上で、「ノーテルは100年の歴史を持つR&Dの会社で、多くの特許も取得している。1990年代後半、比較的長い期間をかけて製品の品質を向上させてきたノーテルと、スピーディな製品投入を旨とするベイ・ネットワークが合わさったことで、両者のメリットを併せ持った技術志向の会社に成長できた。こうして培ってきた部分は『あそこはノーテルっぽい』と10年後に評価されるかもしれない」と、思い入れとともに語った。