思想が垣間見られる、白熱灯下の表現
テストした一連のデジタル一眼レフカメラの中で、AWBでもある程度納得できる色味を出してくれたのがソニーの「α350」と「α200」だ。ペンタックスの「K20D」なども同じ会場で使用してみたが、AWBの調整範囲からはみ出る部分が多かったようだ。
舞台照明は、すでに書いたとおり電圧を変えてしまうので、タングステン光源が100Vで3200K程度の色温度だったとしても、60Vや30Vに電圧を落とすと、2000Kくらいまで落ちて色味が赤くなってしまう。AWBでここまで低い色温度の設定を用意しているメーカーは少ない。
インタビューで聞く(関連記事)と、ソニーにしても2000K台までの調整範囲をカバーしているわけではないようだが、それでも違和感があまりないというのは、うまく見せる技術があるということなのだろう。
ただしペンタックスの場合でも、プリセットの設定を白熱灯に合わせれば、キレイに撮影することができる。このあたりを比較するだけでも各社の写真に対する考え方の違いが見えてきそうだ。
ソニーは「誰でも簡単にキレイに」。ペンタックスは、「撮影する作業それ自体を楽しむ」という方向感を狙っているのだろう。撮影する作業には、もちろん細かい設定の調整も含まれる。
そういった思想の違いが、カメラに現れているのは面白い。