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極寒と悪天候に耐えて――100年前の蒸気機関車に会いにヒマラヤへ!

2008年04月01日 15時03分更新

文● 斉藤博貴

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撮影テクニック


 連続12回のロケに失敗して、13回目の正直でやっと蒼穹に出会えた

12回の失敗例――11月初旬より撮影を開始。例年ならば多少は青空が見えているものだが、2007年はインド人も驚く異常気象で曇天が続いた。ただただ撮影チャンスを待つのだけの日々。しかし、心の底から来るガッカリが12日も続くと、精神的には疲労の限界に達する。そろそろ晴れてくれませんか? ほかの被写体も撮りに行きたいし……

 今回インドに持ち込んだ撮影機材は、カメラは「オリンパスE-510」、レンズは「ZUIKO DIGITAL 14-54mm F2.8-3.5」、さらに1.4倍テレコンの「EC-14」。フレームは三脚を使用して完全に固定してある。


 1ページ目の成功写真の露出モードはマニュアル、絞りF5.6、シャッター速度1/800秒、感度ISO 100、ホワイトバランスは太陽光。露出は反射率の低い手前のSLの細部を黒つぶれさせず、反射率の高い背後の雪山を白とびさせずという条件。ギリギリに切りつめた結果だ。

作例3

SLが後ろ向きになる列車なら撮影チャンスはもう少し多い。これはこれで悪くないが、やっぱり正面を向いた機関車を撮影した後の余裕で狙いたい。使用機材:オリンパス「E-510」+「ZUIKO DIGITAL 14-54mm F2.8-3.5」(F5.6、1/800秒、ISO 100、WB太陽光)

 このカメラを選んだ理由は「オリンパス・ブルー」の発色を2000mの高地で試したかったのだ。このレンズを選んだのはディストーションの補正が極めて良好だからだ。この2つの組み合わせの良いところは、絞り開放からでもほとんど周辺光量落ちが見られないからだ。さらに、ゴミ取り機能が充実しているので正規のサポートを受けられない発展途上国での使用には最適なのだ(なお、今ならE-510でなくE-3をチョイスする。日本を出国したのはまだE-3の発表前の10月だったので)。

 なお、筆者は11~12月にかけてダージリンに滞在していたが、その後これほどの天候に出会うことはなかった。



やっぱり一筋縄ではいかない


 最後に。インド滞在の最終日に、必死で撮影した写真データをバックアップしていたフォトストレージが起動不可能な状態に陥った。HDDに不具合が生じたようだ。

 メーカーに修理に出すと「データの吸い出しなどは行なわない」という。結局、自分でバラして、HDDを取り出して、撮影データのサルページを行なうハメになった。やっぱり、HDDという危険なメディアによるバックアップは、今後はボク自身も絶対に行なわないし他人にも勧めない。

 フォトストレージャーを購入する予算をすべて使って、せっかく安くなったCFを大人買いしようと思っている。今なら秋葉原に行けばトランセンドのCFが32GBで2万円しないのだから。

フォトストレージャーの残骸

フォトストレージャーの残骸。もう2度と使わないから組み立てない。ごめんね。この残骸欲しい人いたらさしあげます。ただし。送料だけは負担してね


著者近影 斉藤さん

筆者紹介─斉藤博貴(さいとう ひろたか)


執筆から編集までこなす鉄道系カメラマン。タイとカンボジアの鉄道を調査するために1996年より約5年間バンコクに滞在した。特技は英語とタイ語で、ライフワークは海外鉄道の撮影。最近では世界遺産として登録されたインドの「ダージリン・ヒマラヤン鉄道」と「ニルギリ登山鉄道」に通うようになった。著書に「技術のしくみからデザインまですべて分かる鉄道 (雑学を超えた教養シリーズ) 」(誠文堂新光社)がある。



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