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人の顔を綺麗に撮れるビデオカメラ

顔認識搭載のハイビジョンハンディカム HDR-SR12

2008年03月25日 16時00分更新

文● 伊藤裕也

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1920×1080ドットでの動画記録をサポート


 進化したクリアビッドCMOSセンサーに、新映像処理回路の組み合わせで注目したいのは、動画・静止画の解像度の向上だ。HDR-SR12では動画記録時の解像度が最大1920×1080ドットとなった。従来モデルでは最大1440×1080ドットであったので、同じ1080iのHDビデオながら、その情報量は約1.3倍に向上した。1920×1080サポートはかねてから要望が多かっただけに、待望の強化と言えよう。動画の記録フォーマットは、従来どおりのH.264/MPEG-4 AVCである(SD画質のMPEG-2での撮影も可能)。

動画撮影サンプル1

動画撮影サンプル1 最高画質のFHモードで撮影。1920×1080ドットの解像度により、羽毛はもちろん羽についた雪や水滴までしっかりと表現されている

 静止画撮影についても、最大1020万画素相当(3680×2760ドット)での撮影が可能になるなど、現行のデジタルカメラ並みとなった。動画撮影中の静止画同時撮影時でも、760万画素相当(3680×2070ドット)での撮影が可能だ。「動画撮影がメインだが静止画も必要」といった用途であれば、別途デジタルカメラを用意するまでもなく、高解像度の静止画まで撮影できてしまう。

動画撮影中に静止画記録したサンプル

静止画撮影サンプル1 このサンプルは、動画撮影中に静止画記録したもの。HDビデオ撮影時でも3680×2070ドットの高解像度で写真撮影できるのは大変便利

 HDビデオの記録モードは4種類。1920×1080ドットで撮影できるのは、新たに導入された記録モード「FH」のみ。残る3モード「HQ、SP、LP」では、従来どおり横方向の情報を圧縮した1440×1080ドットでの記録となる。


HDビデオの記録モード一覧

FH HQ SP LP
解像度 1920×1080 1440×1080
ビットレート 16Mbps 9Mbps 7Mbps 5Mbps
記録時間 14時間40分 29時間40分 36時間 48時間

 気になる各モードの動画品質だが、やはりFHが優秀だ。1920×1080ドットのフルHD解像度なら、他のモードでは潰れがちな細かいディテールもしっかり表現できる。ビットレートも平均16Mbpsと高いので、動きのあるシーンでも動画の崩れは気にならない程度になる。FHはHDR-SR12における標準の記録モードと言っていいだろう。

動画撮影サンプル2

動画撮影サンプル2 FHモードのサンプル。日が沈みつつある港の様子を撮影してみた。一般的に、海面の表現はMPEG-2やH.264/MPEG-4 AVCにとって厳しいが、ビットレートが高いことからその崩れは気にならない程度に抑えられている

動画撮影サンプル3

動画撮影サンプル3 同じくFHモードのサンプルで、貨物船にズームしてみた。クレーンのワイヤーや人が通行する部分の手すりなど、細部まで潰れずに表現できている

 HQでは1440×1080ドットと解像度がFHから低下するうえに、ビットレートも9Mbpsと低く、FHと比較すると細部の表現でどうしても差が出る。とはいえ、FHと比較しなければ大きな不満を感じるほどではなく、動画品質と記録時間のバランスを考えれば悪くない選択だ。残るSPとLPは、ビットレートが低いことから粗さが目立つ傾向にある。特にLPでは、動きのあるシーンで細かな情報の潰れがハッキリと分かり、動いている状態も滑らかさに欠ける。使う機会は限られるだろう。

 下位モデルのHDR-SR11でも60GBのHDDを搭載することを考えると、画質の低いLPモードよりも、むしろ動きの早いスポーツの撮影でも安心して使える“1920×1080の高ビットレート”(低圧縮率)な撮影モードを追加したほうがいいのでは? と感じる。

動画撮影サンプル4

動画撮影サンプル4 広角端ズーム倍率のサンプル。35mmフィルム相当で40mm。さらなる広角撮影にはオプションのワイドコンバージョンレンズが用意されている

動画撮影サンプル5

動画撮影サンプル5 こちらは望遠端。広角端と同じ場所からの撮影ながらも、建築の模様を確認できるまでに近づくことができる



顔認識の搭載で人の顔をより綺麗に

顔検出の様子

HDR-SR12を人に向けたところ。カメラが検出した顔は、このように白い枠で示される。フレーム内の白い枠がぶれているように見えるのは、被写体の子供が動いたことから顔認識機能がそれを追っているため

 1920×1080サポートと並ぶHDR-SR12のもうひとつの目玉が顔認識機能だ。フレーム内にある最大8人までの顔を同時に認識・抽出し、そのうえで抽出した範囲に対して、さまざまな撮影支援機能を実行できる。この撮影機能との連携が大きなポイントだ。

 撮影支援機能では、顔に対する「フォーカス」や「明るさ」調節のほか、肌色を美しく見せる「美肌」、静止画撮影時の「フラッシュ」(フラッシュ自動発光)など、人物を録るに役立つ機能がそろう。

 「フォーカス」は認識した顔にピントを合わせる機能で、複数の顔を認識した場合には最も近い顔(認識範囲が広い顔)に合わせる。「明るさ」は顔を基準に明るさを調整する。例えばスキー場や逆光での撮影では人の顔が暗くなるが、この機能があればそうした状況でも露出をコントロールして明るく録れる。最後の「美肌」は人の肌を意識した色調補正で、肌の色を美しく表現できるというもの。さらに美肌では、H.264/MPEG-4 AVCでのデータ圧縮時に顔を正確に再現できるよう、認識した顔に多くのビット配分を優先するように働く。

顔認識機能は銅像でも認識可能

HDR-SR12の顔認識機能は、このように写実的な銅像でも認識可能だ。なお、この撮影時にはひどい雪のためか、フォーカスが外れてしまう瞬間もあった

 実際にHDR-SR12で人の顔を狙ってみると、顔がフレームに入ると、顔を示す白枠がディスプレー上に即座に表示され、それと同時にフォーカスが被写体の顔に合うよう動作する。被写体自身が動いたりしてフレーム内での被写体の位置が移動しても、カメラは被写体の顔を捉え続けた。撮影者は被写体の人物をフレームに入るよう追うだけで、被写体の顔を綺麗に撮影できるのである。これは顔認識機能があるカメラならではの大きな魅力だ。

 ただ、カメラの向きをわずかに変更するだけで、顔の認識を示す表示が出たり消えたりと安定しないこともあった。また、フレーム内に別の人が入ったり、顔と誤認識する要素がある場合には、フォーカスを合わせる優先順位の関係からうまく働かないこともあった。顔認識は大変便利な機能ではあるものの、すべての状況に対応できるわけではない。さらなる認識精度の向上や、複数の顔を検出した状況での対象選択は今後の課題といえよう。

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