ファイルメーカー(株)が6日に発売する個人向けデータベースソフト「Bento」(ベントー、関連記事1、2)。データベースソフトというと、同社の「FileMaker」やマイクロソフトの「Microsoft Access」など、数多く登場してきているが、後発のBentoはどんなポジションを狙っているのだろうか。米ファイルメーカーの社長、ドミニク・グピール氏に話を聞いた。
「シンプルである」という考え方が核
── 御社はFileMakerというデータベースソフトを、長年販売してきています。なぜ知名度のあるFileMakerの名前を冠さずに、Bentoという新しい名前を付けたんですか?
グピール Bentoは、FileMakerとまったく違うくくりで考えています。FileMakerは大きな企業の部門や中小企業など、主に事業者に対して提供してきましたが、Bentoはパーソナル向けの製品として新設しました。
── 具体的に何が違うのでしょうか?
グピール Bentoは「シンプルである」という考え方を核として作られています。初めてデータベースに触れるユーザーでも、シンプルに使えるようにユーザーインターフェースを工夫しています。逆にFileMakerの中核にあるテーマは、業務のさまざまなニーズに応えられるように、「フレキシビリティー(柔軟性)を提供する」ことです。
また他のソフトとの連携を見てみても、Bentoは住所録ソフトの「アドレスブック」やカレンダーの「iCal」、画像管理ソフトの「iPhoto」など、Macのパーソナル製品と連動してデータベースを管理する用途に向いています。一方でFileMakerは、どちらかといえば業界標準であるXML/PHP/ODBCといった規格に合わせることに照準を置いています。
── Bentoという名前について、「いろいろな料理が分かりやすく入っていて、見た目に美しい」という日本の弁当箱にヒントを得たと話されていました。Bentoではなく、英語の「Lunch Box」ではダメだったんですか?
グピール ランチボックスでは「何でもあり」という感じがして、われわれがBentoで目指したイメージと違います。
Bentoは既に今年の1月、欧米で発売していますが、ネーミングの由来を語ると「理にかなった名前だ」とみなさん理解してくれます。データベースソフトとして親しみやすいという評判もあります。
── グピールさん自身はBentoをどう使っています?
グピール BentoとFileMakerを使い分けていますね。仕事場ではFileMakerを使ってミーティングの準備をしたり、会議の出席者とプロジェクト名、メモ、今後実行することを関連付けています。
だいぶ私も年を取ってきたので、そうした記録があるとやはり助かります。社員の皆さんは、私のデータベースが早くなくなるようにと思っていることでしょうが(笑)。
家庭では、住所録はFileMakerで管理していますが、例えば水泳の記録にはBentoを使っています。過去にどれくらい泳いだかを見て、次はどんな泳ぎ方でどれくらい泳ごうかといったことを考えていますね。かつて、娘が参加していた10歳以下のサッカーチームのコーチを務めていたときは、訓練メニューをまとめるのにも使っていました。