開発には自分の嗜好が表れている
奥さんはPalm OS用ウェブブラウザ「Palmscape」を開発したり、IPAより「天才プログラマー/スーパークリエータ」に認定される、世界的にも著名な開発者だ。革新的なサービスのアイデアも多く抱えていることだろう。では、その中からPathtraqを選んだのはなぜだろうか。
「数個のアイデアの中で、もっとも成功する確立が高く、成功によるメリットも期待できるものとしてPathtraqを選びました。以前より、ユーザーにログを送ってもらうことで新しいサービスが作れるだろうと思っていました。実は、Pathtraqの前に、ユーザーから閲覧中のウェブサイトのホスト名を収集して、英語サイトのタブやメニューなどを日本語化する『Japanize』を開発しています。Pathtraqは同様のアプローチを使ったサービスです」
Pathtraqのようにユーザーのアクセス数を集計して成立しているサイトは、スタート直後に、一定のユーザー数を確保できるかどうかが勝負になる。
「ユーザー数の確保という面で、Japanizeを通してできたユーザーとの関係性を生かすことができました。つまり、Pathtraqは、Japanizeを前段階で作成していた私だからできたサービスだとも思っています。あと、Pathtraqを開発しようと考えたのは、私の嗜好性も関係しているでしょう。『ネットワークを通して、いかにコミュニケーションを自動化するか』というところへの興味が高く、技術的な強みもそこにあると考えていますね」
現在のところPathtraqの利用者は、インターネット利用者の中でも、非常にITリテラシーの高いいわゆる先端にいるような人たちなのだそうだ。そのユーザーの偏りは、一概に悪いことではないと奥さんは語る。
「一番マニアックな層が見ている情報というのは、その少し下の層にとって意味のある情報です。なので、次の段階として、少し下の層の人がインストールしてくれることでしょう。そして集まった情報は、また次の層にとって意味のある情報になる。すると、次の層がインストールする。そうやって、階層的にユーザー数を増やしていけると思っています」
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