目的地の住所を検索するだけで地図を確認でき、さらに航空写真も見られる「Googleマップ」の愛用者は多い。そのGoogleマップの携帯電話版サービス「モバイルGoogleマップ」が今年の8月に日本でも開始された。今年4月にグーグルに入社し、即戦力として開発に携わったソフトウェアエンジニアの若狭建さんに、開発のポイントを聞いた。
モバイル版はPCサービスの完全移植では不完全
Googleマップは目的地の住所を書き込むだけで、目的地周辺の地図やその場所までのルート、周辺のお店の情報まで検索できるサービスだ。しかしPCでの利用が前提のため、ユーザーはパソコン上で検索した情報をプリントアウトして、ペーパーを片手に目的地に向かうのが一般的な使い方だろう。しかし、新サービスの「モバイルGoogleマップ」なら、外出先で簡単に携帯電話からアクセスでき、見たい地図をその場で入手可能だ。
「アメリカでは2年以上前からプロジェクトが稼動していて、2005年末にモバイル版サービス『Google Maps for Mobile(GMM)』を開始しました。GMMには大きく分けて、携帯向けJavaとネイティブコードの2つのコードベースがあります。携帯電話用JavaのJ2ME(MIDP)、携帯情報端末で使用されるPalm OS、そしてWindows Mobile用のGMMはすでに開発されていたこともあり、NTTドコモのiアプリで使われているJava用の『モバイルGoogleマップ』も、同じソースコードの中でサポートすることができました」
Googleマップの魅力の1つは地図をマウスで自在にスクロールできるところで、『モバイルGoogleマップ』でもその魅力は再現されている。これまでの多くの携帯電話の地図アプリは、地図の表示地区を移動するたびに画面が切り替わるため、前後の地図のつながりが分かりにくかった。しかし『モバイルGoogleマップ』ではJavaアプリケーションを使うことで、画面を切り替えることなく地図のスクロールができるようになっている。
「Googleのミッションは『世界中の情報を整理し、世界中の人がアクセスでき、使えるようにする』ということです。GMMもその1つの手段です。しかし、PCのサービスをそのまま携帯電話に持ってきただけでは、Googleの理想は果たせません。そのままでは"使いやすさ"が失われてしまうからです。そこで『モバイルGoogleマップ』でも、日本の携帯電話で使いやすい仕様に改良する必要がありました」
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