必要な単語を効率よく学ばせる
── いろいろな経緯があって、SNSに行き着いたわけですね。
エリック まず最初に学習アルゴリズムがありました。でもアルゴリズムだけを提供するんじゃダメなので「コンテンツも付けよう」と思った。でもわれわれは元々コンテンツ会社じゃないから簡潔にアプローチできる方法を考えました。英会話に必要な単語のうち95%を効率よく学ばせようと思ったんです。ちなみに、95%で大体何単語ぐらいだと思いますか? 英語の辞書には50万語近いものもありますが……。
── うーん。3000ぐらいですか?
エリック 近いですね。95%でだいたい5000語ぐらいと言われています。これは統計学に基づいています。要は、ほんのわずかな数の単語さえ勉強すれば、95%の会話は分かるんですよ。これをウチのコンテンツのベースにしていこうということで、ラーニングエンジンにくっつけたんです。
── iKnow!のラーニングエンジンというと?
アンドリュー ユーザーが何をいつ勉強しなくてはならないかを教えてくれる仕組みです。脳科学に基づいたシステムで、学者が考えた仕組みですね。もともとはどうすれば「短期間で多くのことを記憶できるか」というところを突き詰めたものなんですよ。記憶のプロセスでは脳の細胞レベルで何が起きているかとか、カルシウムがどうとか、どうやって短期記憶が長期記憶になるのかとか、そういうことを研究した成果も反映されています。これに基づいて「(学習した単語のうち)どの単語が弱くてどの単語が強いか」をコンピューターに管理させて、学習ペースの配分を決めさせるのがiKnow!のエンジンなんです。
エリック ウチのトップのアドバイザーが、ジェラルド・フィッシュバーグという方で、ハーバード大学の元教授、コロンビア大学 医学部の理事長も務めた人です。彼は脳科学の世界で非常に有名な学者なんですよ。あとは慶応大学の伊藤先生。彼は心理学者です。脳科学も心理学も必要なんです。脳科学だけだと正しいけれど機械的。どうやったらやる気になるかの部分は心理学。両方のバランスが必要なんですね。