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ThinkPadの冷却ファンは「ふくろうの羽」から生まれた!

2007年12月21日 09時00分更新

文● 編集部 小浜雅胤

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騒音削減は「ふくろうの羽」にヒントがあった


 冷却ファンを回せば熱は下がるが、ファンの回転による騒音が出てしまう。冷却効果を高めつつ、騒音を抑えることができないか模索していたところ、「ふくろうの羽」にヒントを見つけたというのだ。

 ふくろうは、鳥の中で一番静かに飛ぶと言われていて、ねずみやもぐらなどのエサに気付かれることなく近付ける。実はふくろうの風切り羽には、ほかの鳥には付いてない、ギザギザの細かい突起があり、ここに静かに飛ぶための秘密が隠されているというのだ。

 通常、鳥が飛行するときは、翼全体に大きな空気の渦が発生している。この渦が音の源となる。しかし、ふくろうのように羽の先にギザギザがあると、そのギザギザの周りに小さな渦がたくさん生じ、大きな渦の発生を防ぐことができる。その結果としてふくろうは静かに飛ぶことができるというわけだ。

 この原理を応用して、ファンの先端付近に小さな渦が起きるように開発されたのが「OWL BLADE」。従来のものに比べて騒音が3.5デジベル低減したという。

 ちなみに、この原理をパソコンの冷却ファンに応用したのはThinkPadが初となるが、もともとは500系新幹線で採用されていたものとのこと。500系新幹線は、パンタグラフ部分にギザギザの突起を付けることで30%の騒音削減を実現しているそうだ。



Xシリーズの熱問題改善は今後に期待


下がT60、上がT61

下がT60、上がT61。T61には本体背面に2箇所の空気口が開いている

T61の冷却装置

 OWL BLADEは現在第2世代が開発され、Tシリーズの最新モデル「T61」に搭載されている。またT61は、本体底面に穴をあけることでエアフローを改善する「通風断熱構造」を採用しており、本体底面の表面温度を5度改善している。

 これら最新の熱設計は、現時点ではT61のみに搭載されているもので、X61やR61シリーズには搭載されていない。一部のユーザーから「X60のパームレストが熱い」と声が上がっていただけに、この点に関しては少し残念なところだ。フラッグシップモデルのT61でフィードバックを集めたあと、順次XやRシリーズにもこれら最新の熱設計が導入されていく予定だという。

 ブリーフィングの最後に、中村氏は今後の熱設計について次のように述べた。「CPUの消費電力の上昇は穏やかになるが、GPUや通信関係のパーツはどんどん上昇していく」。これは動画共有サービスの利用者が増加しているなど、ユーザーの利用形態の変化が背景にあるという。

 今後の熱設計は「決して簡単ではない」としたうえで、「ThinkPadの設計フィロソフィーは、性能を犠牲にせず快適性と小型軽量化を追求すること。これからも引き続き冷却デバイスの基礎技術の開発に取り組んでいく」と中村氏は意気込みを語った。


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