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栗原潔の“エンタープライズ・コンピューティング新世紀” 第12回

エンタープライズサーチの真の価値を探る(2)――ポータルとしてのサーチ

2007年10月02日 17時00分更新

文● 栗原潔

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「集合知」たり得る母数を確保できるか


 Googleがどのように検索結果の表示順を決めているかどうかは明らかにされていない。しかし、基本的には、米国で特許化されている「リンク分析」――多くのサイトからリンクされているサイトは価値が高い、また価値が高いサイトからリンクされているサイトは価値が高いという分析――に加えて、サイトの「メタデータ」や「トラフィック情報」を組み合わせた仕組みになっていると推測される。

 インターネットの世界でこの仕組みは、驚くほど有効に機能している。

 しかし、このようなリンク分析に基づいた検索結果のランキングは、企業内のイントラネットの世界ではは必ずしも有効とは言えないだろう。

 その理由は、分析の対象となるページやユーザーの数が少なすぎるからだ。つまり、集合知を有効に活用するためには、集合のメンバー数が足りないということだ。



企業ポータルに最適なランキングアルゴリズムとは?


 他社の企業内ポータルで検索を実行できる機会はあまりないので、一般的なポータルで、サーチのランキングがどの程度うまく機能しているかについては、統計的に有意なほどのサンプルがない。しかし、ネット上にあるさまざまな企業サイトやメディアのサイトであれば、サイト内検索を試してみることができる。

 これをみると、残念ながら、あまり検索結果が最適化されていないケースが多いように思われる。単に、日付順で出力したり、キーワードの出現回数でソートしたりということで、求める情報を入手するまでに手間がかかることが多い。ランキングアルゴリズムに対するもう一歩の工夫が必要だろう。企業内ポータルにおいても状況は似たようなものではないだろうか。

 ネットの世界でGoogleが成功できたのは言うまでもなく、そのランキングアルゴリズムにある。ネットの世界では支配的なGoogleが、企業内のサーチの世界では必ずしも成功できていないのは、求められるランキングアルゴリズムの根本的相違にあるだろう。

 企業内サーチにおけるランキングアルゴリズムの考え方については、次回に説明していきたい。


筆者紹介-栗原潔

著者近影 - 栗原潔さん

(株)テックバイザージェイピー代表、弁理士。日本IBM、ガートナージャパンを経て2005年より独立。先進ITと知財を中心としたコンサルティング業務に従事している。東京大学工学部卒、米MIT計算機科学科修士課程修了。主な訳書に『ライフサイクル・イノベーション』(ジェフリー・ムーア著、翔泳社刊)がある。


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