このページの本文へ

前へ 1 2 3 次へ

デノンに聞く、これからのAVネットワーク

「AVアンプはネットワークにつながり、ミュージックステーションとなる」

2007年09月29日 12時00分更新

文● 編集部 小林 久

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

デノンの担当者に聞く、AVアンプとPCの融合


── AVC-3808の位置付けは?

櫻木氏

販売企画部宣伝課の櫻木康浩氏

櫻木 当社はこれまでもAVC-4320などのAVアンプにネットワーク機能を搭載してきました。6月に発表した新ラインアップでは本年を「HDオーディオ元年」と位置付け、高画質な映像再生に加え、次世代DVDの音声ソースの忠実な再生にも力を入れていくという方針を打ち出しています。しかし、それだけにとどまらず、AVセンターとして1台の機械で、さまざまなソースに対応できる「ミュージックステーション」という位置付けで製品訴求に積極的に取り組んでいきたいと考えています。

── ネットワーク機能は、AVアンプ中心に展開していくのですか?

櫻木 今回はAVアンプのモデルチェンジの機会に恵まれたため、こういった機能を付けましたが、この夏以降に発売していくシアターシステムやiPod用のコントロールドックなど、さまざまなオーディオ製品への投入も進めていきたいと考えています。

── 従来機種のAVC-4320から強化されたポイントを教えてください。

櫻木 AVC-3808のネットワーク機能に関して、ベースとなる部分はAVC-4320と変わりませんが、GUIを変更し、日本語表示にも対応するなど、より使いやすさを重視した点が違いになると思います。

── このタイミングまで日本語対応されなかった理由は何ですか?

上中氏

専門店営業部の上中孝司氏

上中 ホームシアターは、北米の市場が圧倒的に大きく、AVC-4320では、この市場のニーズを満たす機能を入れるという側面が大きくありました。メニューに関してもOSDによる英語表示のみで、日本のユーザーには使いにくい面があったと思います。

AVC-3808ではこの点を改良して、操作メニューをGUI化しました。従来のOSD表示は480iが基本になっていますが、このGUIは1080pの解像度をフルに使ったレイアウトになっています。日本語やアルバムアートの表示にも対応していますし、音場補正やストリーミング関連の設定もきれいで分かりやすい画面上で行えるようになっています。


櫻木 今回の製品には、日本からの主張も数多く盛り込まれています。AVアンプはいろいろなソースを扱えるようになりました。しかし、何でもできるけれども、操作が複雑で分かりにくいのでは意味がありません。そこで、表示レイアウトにもこだわって、誰でも直感的に使えるものを目指したんです。



無線化も今後のトレンドのひとつになる


── AVC-3808は中級機という位置付けです。上位機と機能面での違いはあるのでしょうか?

上中 上位機ではWi-Fiへの対応も行なっています。音質への影響を気にされる方もいるとは思いますが、Ethernetの端子も備えているので、そういった方は有線で接続いただくことも可能です。Wi-Fiに関しては、8月に発表した2.1chシアターシステムの「S-302」や、iPod用のコントロールドック「ASD-3W」などでも採用していますが、今後重要性を増していく分野と考えています。

── 今回からDLNA対応を正式に表明されましたね。

上中 DLNAに関しては、以前から取り組んできたものですが、今回の機種では正式な認証を受けられました。

── 基本機能はAVC-4320と同等とのことでしたが、WMA LosslessやFLACを始めとして再生できる形式が増えていますね。

上中 パソコンとの音楽ファイルの共有に関しては「Windows Media Connect 2.0」の機能がWindows Media Player 11に統合されたため、その機能を利用することになります*

*編註 Windows Media Player 11はAAC形式のストリーミング配信には未対応となるため、AACファイルをネットワーク経由で再生する場合には、別途パソコン側に別のファイル共有ソフトをインストールするなどの対応が必要になります。

アーチスト名やアルバム名は日本語で表示できるようになり、ジャンル等での絞り込みも可能になった

GUI画面

GUI画面。スピーカーの音場補正設定時も図で示され、理解しやすくなった

── 曲の検索方法はどうなっていますか?

上中 従来はネットワーク上のパソコン(サーバー)を選び、共有しているフォルダーの階層をたどって、ファイル名で再生する楽曲を選択する仕組みでしたが、今回からはファイルのメタタグ情報を参照して、アーチスト名やアルバム名などで絞り込めるようにしました。レーティング情報なども反映されるので、かなり使いやすくなったと思います。

── 日本語の曲名に関しては、同時に発表された双方向リモコンでも表示できるようですね。

上中 RC7000CIは、レシーバーのRC-7001RCIをデノンのAVアンプに接続して使用することで、双方向通信が可能になり、リモコンの画面上に曲名などを表示させながら、聞きたい音楽を選ぶといった使い方が可能になります。RC7000CIは、2.4GHz帯の無線を使用していますが、Wi-Fiではなく、ZigBeeと呼ばれる仕組みを利用しています。赤外線のように照射する向きを選ばない点もメリットと言えます。

RC7000CI

RC7000CIのメニュー画面。日本語のアーチスト名もしっかりと表示されている

── 手元のリモコンに曲名が表示されれば、テレビをつけずに選曲操作が行なえるといったメリットも出てきそうですね。

上中 リモコンに関してもうひとつご紹介したいのが、弊社が取り扱っている米UEI社の「Nevo SL」という多機能リモコンです。ネットワークに対応しており、パソコンの楽曲一覧をリモコンの液晶ディスプレーに表示して、再生する曲を選ぶことができます。マクロの作成にも対応しており、複雑な操作を一度に行なうことも可能です。液晶画面はカラー表示対応で、パソコンに保存した画像をリモコンで確認することもできます。

Nevo SL

Nevo SL。無線LANと赤外線機能を備えており、複数の動作をマクロとして登録することも可能だ

── 今回はネットワーク機能を中心にお伺いしましたが、AVアンプとしてのセールスポイントに関してもお伺いしたいと思います。

上中 HDMI 1.3aの出力を2系統装備しており、同時に2台の機器に映像を出力できる点は大きな特徴ではないかと考えています。

最近では日常的には薄型テレビを使うが、本格的に映画を楽しみたいときにはその前にスクリーンを引いて、プロジェクターで投影する「2Wayシアター」という視聴スタイルも出てきています。機器の接続状態に応じて、最適な信号を出力する仕組みも持っており、切り替え操作も不要です。

また、AVC-3808は7.1chの出力に対応していますが、5.1chの出力しか使わない場合は、余った2つのチャンネル(サラウンドバックチャンネル)にステレオ再生専用の別のスピーカーを接続することができます。音楽を楽しむ際には、映画を視聴するのと別のスピーカーを利用したいと考える人にとって便利な機能ではないでしょうか。

AVC-3808の背面。Ethernet端子は右上に装備する。

── 最後に音質へのこだわりの部分も聞いておきたいと思います。

上中 HDMI 1.3aが話題を集めていますが、その効果を発揮する基礎体力の部分も大事にしています。HDMI 1.3aへの対応を基本としながら、それを受ける土壌として高音質に再生できるようにするのはオーディオメーカーの責務だと考えています。

アナログ回路など、Hi-Fiの2チャンネルシステムで培った技術はこの機種にもひととおり織り込んでありますし、PCMで入力された信号に関しては、すべてのチャンネルで量子化により発生する歪みを低減し、より自然な波形で信号を出力できる「AL24 Processing Plus」という技術が利用可能です。

櫻木 デノン独自のD.D.S.C.デジタルも、次代に合わせてブラッシュアップしたD.D.S.C. HDに変更されています。忠実な音の再現性をぜひ体験してほしいですね。

── ありがとうございました。

前へ 1 2 3 次へ

カテゴリートップへ

週刊アスキー最新号

編集部のお勧め

ASCII倶楽部

ASCII.jp Focus

MITテクノロジーレビュー

  • 角川アスキー総合研究所
  • アスキーカード
ピックアップ

デジタル用語辞典

ASCII.jp RSS2.0 配信中