ソニー(株)が10日に発表した、ソニーのエンターテインメントオーディオプレーヤー「Rolly」(関連記事)。その開発者たちはRollyにどんな思いを込めて、どこにこだわったのか。前半はRollyの生みの親である、オーディオ事業本部 新規ビジネス商品部2課 統括課長の大口伸彦氏に話を聞いた。
後半では、オーディオ事業本部 統合商品企画MK部門 統合商品戦略部 新規ビジネス企画課の渡邉恵さんと、ソニーの広報を交えて、「4万円という販売価格は高くなかったのか?」「ソニーの人はどういう風にRollyを使っているのか」「ローリーの名前の由来は何?」という質問に答えてもらった。
「Q.taro」ではなく「AIBO」の血を引く
── いつ頃からRollyを企画していたんですか?
大口氏 企画が出たのは、まだAIBOが生産終了になっていない3年ほど前になります。私は元々AIBOの開発メンバーでハードウェアを担当していましたが、そのAIBOの技術を使って何かできないかと考えていました。
そのときに注目したのが、ソニーが昔から強い「オーディオ」という分野で、僕とあと数名が「ロボットの技術が入った音楽プレーヤー」という大本のコンセプトを固めました。
── ソニーは昔、「Q.taro」(関連記事)という球形ロボットのコンセプトモデルを出していました。これとは何か関係ありますか?
大口氏 直接は関係ありません。開発者も別です。
── なぜ卵形なんでしょうか?
大口氏 ひとつの理由としては、「手のひらに乗るポータブルプレーヤーにしよう」という構想があったからです。卵形の形状が握りやすかったり、親しみがわくということで、この形の中に色々な技術を入れられないかと開発を進めました。
また、「まったく新しい商品を作りたかった」という思いもあります。音楽機器というと、携帯型プレーヤーや携帯電話機では通常、薄くてポケットに入りやすいカード型のものを発想します。しかし、そうした携帯性よりは、モノとしての存在をアピールしたかったのです。
── Rollyには、さまざまな機能が盛り込まれていますが、それらはどういう優先順位で決めていったのでしょうか?
大口氏 卵形が決まったあと、割と早い段階で、「モーターが6個あって動く」という構成が決まっていました。表現のためにはもちろんモーターは多い方がいいんですが、一方で本体サイズを最小限に留めたいという要望もあった。それを満たすモーターの数と配置を決めてからは、基本コンセプトは大きく変わっていません。