親密化するAMDと中国メーカーの関係
これは、中国でトップシェアを誇るレノボだけの話ではない。レノボに続く中国パソコンメーカーの方正、同方、TCL電脳などもAMD製のCPUを採用していく計画だ。TCL電脳は現状では、AMD製CPU搭載のパソコンを販売していないが、2007年1月末にAMDと戦略的提携関係を結ぶことがパソコン関連メディアを中心に大々的にアピールされた。方正は2006年9月末に、同方は2005年12月末にAMDと戦略的提携を結んでいる。
こういったシェアの大きなメーカーだけでない。中国では、ある地域に販売を特化したパソコンメーカーが各地にあり、それらのメーカーは個人向けの販売だけでなく、その土地のネットカフェに大量にパソコンを納入している。そういった地域に特化したパソコンメーカーもまたAMD製CPUを採用しているのだ。
中国のネットカフェの看板にはCPUメーカーのロゴが描かれる習慣があるため、結果的に中国の街中を歩いているとAMDロゴが描かれた看板に多く出くわすことになる。ネットカフェのパソコンはオンラインゲームが快適にプレイできるゲーマー向けスペックであることが普通であるため、それがAMD製CPU搭載であれば“AMD製CPU=高性能”だとヘビーユーザーに訴えることができるのである。
インテルがネットカフェの万佳と提携した背景
中国のIT系ウェブメディアの“中関村在線”では、読者が注目するCPUについてアンケートをとっている。
2007年4月上半期のアンケートの結果では、Athlon64 X2 3800+の人気が最も高く、2位以下はAthlon64 X2 3600+(90nm)、Pentium D 915、Athlon64 X2 3600+(65nm)、Core2 Duo E6300、Athlon64 3000+、Athlon64 X2 4200+、Pentium4 630、Pentium4 631、PentiumD 820……となった。
AMD製のCPUがインテルより人気で勝り、日本で人気のCore2 Duoがそれほど人気でないという面白い結果になった。売り上げがそのまま、このアンケート結果に比例するわけではないが、これからさらに大きくなる中国市場において、AMDは効果的なイメージ戦略を展開していると言えそうだ。「このままでは、まずい」というのも、インテルがIDFを中国で開催した一因になっているのではないだろうか?
IDFでは、インテルは中国全土で3000店のネットカフェを展開する万佳という企業と提携した。「インテル製CPUを採用したパソコンを全店舗に導入する」という契約だが、この背景を知れば、この調印も「なるほど」と納得できる。
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