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「中堅・中小はもっとも成長率の高い分野に」――SAPジャパンのエンスリン社長

2007年02月06日 18時30分更新

文● アスキービジネス編集部

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SAPジャパンは、2月6日、記者説明会を開催し、2006年の業績ハイライトと2007年の事業戦略を明らかにした。ロバート・エンスリン社長は好調な業績をアピールするとともに、成長分野である中堅中小企業市場へ引き続き注力する姿勢を示した。

日本版SOX法も成長の追い風に

「2006年の日本の業績は非常によかった。合併・吸収ではなく、自然な成長である点に注目していただきたい」

SAPジャパン代表取締役社長 ロバート・エンスリン氏

SAPジャパン代表取締役社長 ロバート・エンスリン氏

 SAPジャパンの代表取締役社長であるロバート・エンスリン氏は冒頭、2006年の業績の好調ぶりを笑顔でアピールした。独SAPが発表した2006年通年でのソフトウェアライセンスの売上は、全世界で30.71億ユーロ(日本円で約4773億円)。このうち、日本を含むアジア太平洋地域が3.91億ユーロ(約607億円)、日本は1.31億ユーロ(約203億円)だった。これを対前年比で見ると、日本はおよそ17%の伸びを記録。全世界の平均である12%に比べても高い成長率を誇っている。

 大きな成長を達成したSAPジャパンで、エンスリン氏が「もっとも成長率の高い部門」としてあげたのが、中堅中小企業向けの事業だ。SAPジャパンは昨年、80名からなる専任部隊を設け、中堅中小企業向けビジネスへの取り組みを強化している。SAPは売上に占める割合について公表していないが、同事業は前年比で43%の増の売上と過去最高を記録し、新規顧客企業650社のうち、「ほとんどが中堅中小企業だった」(エンスリン氏)という。

 また、そのほかの業績牽引の要素については、主要大型案件の獲得、バリューエンジニアリング(無償の投資効果測定サービス)の奏功、エンタープライズSOAの浸透、日本版SOX法の追い風、パートナーとの良好な関係――などを挙げる。加えてエンスリン氏は、「日本でアプリケーションビジネスを行なっている企業でもっとも管理能力の高い経営陣になった」と、新しい陣営陣に自信を示した。


2007年は「中堅中小で2ケタ台後半の成長」を目指す

 2007年の成長戦略については、大企業向けの取り組みやエンタープライズSOAの推進など、昨年度までの取り組みを継続する。中でも、引き続き中堅中小企業向け市場に注力し、「2ケタ台後半の成長を目指す」(エンスリン氏)という。

 また、「顧客満足度の向上は重要課題」(エンスリン氏)として、ユーザー会への支援を強化。さらに、「比較的小規模なベンダーやSIerに密着した、日本独自のサポート・サービスを提供したい」(同社バイスプレジデントの神戸利文氏)と、中堅中小企業向けビジネスのカギとなるパートナー支援策を充実させていく考えを示した。

 具体的なソリューションでは、既存ユーザーの「mySAP ERP 2005」へのアップデートを促すとともに、企業のコンプライアンス対応を支援するGRC(ガバナンス・リスク・コンプライアンス)ソリューションにも力を入れる。「文書を管理するのではなく、ビジネスプロセスを管理することが重要。他社にないソリューションを提供していく」(エンスリン氏)。

 そのほか、中小企業向けに導入を低コストで短期導入できる業種別パッケージ「SAP All-in-One」、Microsoft Officeとの連携などのインフォメーションワーカー向けソリューションの拡大も打ち出している。

 会見後の質疑応答の中では、リリースが遅れているMicrosoft Officeとの連携ツール「Duet」の日本語版について、「最終テストをしており、3月末ごろにはリリースできるだろう」(エンスリン氏)と回答。

 また、昨日には日本オラクルが「@Oracle」を開始するなど盛り上がりを見せているSaaS/ホスティング型のサービス分野では、SAPは昨年「SAP CRM On-Demand」を開始している。SAPジャパン・シニアバイスプレジデントの安田誠氏は、同サービスについて「引き合いはあったものの、大企業向けの価格体系を設定したため、ほとんどパッケージ版に流れてしまった」と分析。導入が10案件につき1件にとどまっていることを明らかにしたうえで、「あきらめてはいない。もちろん引き続き取り組んでいく」と話した。

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