マイクロソフトは、12月12日、「Microsoft Exchange Server 2007」日本語版の開発完了を発表した。また、同日開かれた記者発表会において、同製品の販売促進戦略を明らかにした。
セキュリティ機能を強化、Windows Mobile端末のデータ削除も簡単に
「Microsoft Exchange Server 2007」(Exchange 2007)は、Exchange Server 2003の後継製品となるメッセージングサーバ。セキュリティ/コンプライアンス対応機能、Outolook 2007/2007 Office System/Office SharePoint Server 2007などとの連携を強化したほか、64ビット環境への対応によってパフォーマンスを向上させた。また、PBXやIP-PBXとの連携で、ボイスメール/電子メール/ファクスを統合したユニファイドメッセージングの実現を打ち出している。
発表会では、同社のインフォメーションワーカービジネス本部長である横井伸好氏が、「これまでOutlookなどのクライアント側の利便性を紹介してきたが、IT管理者の立場でも魅力がある製品」と紹介。大幅に強化されたセキュリティ機能を中心にデモンストレーションを行なった。
まず披露されたのは、コンテンツフィルタリング機能のデモ。社員が電子メールで外部に個人情報を含むデータを送信しようとすると、Exchange 2007がこれを検出して送信を中止。代わって監査部などの管理部門へメールが転送される。検出する条件にはテキストパターンを細かく設定できるとのことで、デモでは電話番号のパターンを登録していた。
また、Windows Mobileを採用したウィルコムの「W-ZERO3[es]」の端末内のデータをExchange 2007から削除するデモも紹介された。Webメール機能である「Outlook Web Access」に搭載されたモバイルデバイス管理機能から、事前に登録済みの端末をリモートで初期化。W-ZERO3の場合はActive Syncを使った同期が必要だが、ダイレクトプッシュに対応したHTC製の「hTc Z」(NTTドコモ)「X01HT」(ソフトバンク)であれば、より簡単に利用可能だという。
横井氏は、「生産性の高さとセキュリティ、コンプライアンスのバランスをいかにとるかが、これからのメッセージングサーバに求められるものと考えている」と強調した。
W-ZERO3やサーバを無償提供するキャンペーンを実施
「統合コラボレーティブソリューションとして、2005年の国内シェアは34.7%で2年連続1位。だが、ワールドワイドでは50%を超えており、まだまだ伸びしろがある」(横井氏)として発表したのが、Exchange 2007の拡販に向けた販売促進戦略だ。
販売促進戦略は、「既存製品からのアップグレード/他社製品からの移行」「ソフトウェア+サービスの提供」「ITプロへの投資」の3つが柱。特に他社製品からの移行については、Lotus Notes/Dominoをターゲットに、1年間で30万クライアントの顧客獲得を目指す。また、Exchange 2007のセキュリティをさらに強化するASPサービス「Exchange Hosted Services」の拡販を進めるほか、Exchange 2007自体のホスティングサービスを行なうホスティングパートナーも拡充する。加えて、今後半年間で300名のMCTS(マイクロソフト認定テクノロジースペシャリスト)を養成するとしている。
当日は併せて、来年6月29日までにExchange 2007を導入する企業を対象にした「Thank You No.1 キャンペーン」の開始も発表された。既存製品からのアップグレードユーザーにはW-ZERO3[es]を最大10台、Lotus Notes/Dominoからの移行ユーザーには64ビットサーバを1台提供する(いずれも200クライアント以上が対象、先着100社限定)。また、パートナー各社が提供するExchange 2007のホスティングサービスでは1カ月間、利用料金を無償とする。
Exchange 2007のボリュームライセンス版は12月1日から販売を開始しており、出荷開始は15日から。また、パッケージ製品は1月30日の発売を予定している。
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