米ヴイエムウェア(VMWare)社は21日、Intel Mac用の仮想マシンソフト『VMware Fusion』(開発コードネーム)のパブリックベータ版を公開した。同社ウェブサイト(外部リンク)においてメールアドレスや名前などの必要事項を登録することで、無償でダウンロード可能だ。
VMwareは、米パラレルズ社の『Parallels Desktop』と同様、ホストOS (Mac OS X)上に仮想PC環境を構築し、PC用のOS (ゲストOS)を動作させる仮想マシンソフト。
2001年に米コネクティクス社(2003年に米マイクロソフト社が買収)から発売された『Virtual PC for Windows』と共に、PC用仮想マシンソフトの世界で人気を二分する製品だ。
1999年、初のPC向け仮想マシンソフト『VMware Workstation』のWindows版とLinux版が発売され、その後サーバー向け製品も登場した。
ヴイエムウェア自体は2004年にストレージ系ベンダーの米EMC社の傘下に入るが、その後も独立した子会社として仮想マシンソフトの開発を継続しており、2005年には既存の仮想マシンのみ実行できる『VMware Player』の無償配布を開始。2006年にはサーバー向け製品『VMware Server』も無償公開されている。
2006年8月にはインテルMac向け製品を開発中であることを表明し、11月には一部テスターを対象にベータ版の配布が開始されていた。
Mac OS X/Windows間でドラッグ&ドロップできる
VMware Fusionは、仮想マルチプロセッサーに対応し、ゲストOSから複数のCPUコアを利用できるのが特徴だ。ただし、利用できる仮想CPUは、クアッドコアマシン上であっても最大2個に限られる。
また、USB 2.0もサポートしている。筆者の環境では、『Boot Camp』のデバイスドライバーをインストールすることで『iSight』も利用できた。
そのほか、ホストOS(Mac OS X)とゲストOS(Windows)の間で、テキストのコピー&ペースト、ファイルのドラッグ&ドロップによるコピーにも対応しているほか、64bit CPU搭載マックであれば64bit版のゲストOSを起動することも可能だ。
ただし、今回公開されたベータ版では、ある時点での仮想マシンの状態を保存していつでもその状態に戻すことのできる“スナップショット”機能や、Direct3Dはサポートされていない。これらはWindows/Linux版のVMwareは備えているが、Intel Mac版でも今後対応していく予定だ。
360を超えるOSをディスクイメージで入手できる
また、冒頭で述べたようにVMwareはPCの世界で長い歴史と実績を持つソフトであるため、VMware形式のディスクイメージファイルを配布しているオープンソースOSプロジェクトも多い。
ヴイエムウェア自身が運営するウェブサイト“VMware Technology Network”から360個を超すOSのディスクイメージファイルがダウンロードできるほか、独自にファイルを配布しているプロジェクトも少なくない。それらのOSを手軽に楽しめるのもVMwareの魅力のひとつだ。
今回公開されたベータ版は、初のパブリックベータ版であり、デバッグモードで動作しているため、速度が遅く、また仮想マシンの設定を細かく編集できないなどの制限も多い。これらは今後のリリースで改善されていくはずだ。
なお、現時点で最終的な製品のリリース時期や価格、製品ラインナップ等は発表されていない。ちなみにWindows版/Lnux版のVMware Workstationは、価格が189ドル(2万2400円前後)となっている。