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小島寛明の「規制とテクノロジー」 第191回

続く仮想通貨トラブル SNSでの誘いに注意

2022年08月08日 09時00分更新

文● 小島寛明

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 このところ、仮想通貨(暗号資産)などへの投資を巡るトラブルや事件のニュースが続いている。

 2022年8月4日には、国民生活センターが相談があった事例を公表し、注意を促した。

 多くの事例で、「SNSやマッチングアプリで知り合った人に誘われた」という共通点がある。

 国民生活センターは「勧誘をうのみにしないで」と呼びかけているが、甘い話に抗い切れない人も少なくないようだ。

真に迫る事例集

 国民生活センターが公表した事例は、政府系機関の報告書の記述としては、かなり真に迫る内容だ。

 50代の男性は、SNSで外国人の女性と知り合った。無料通話のアプリで連絡を取り合うようになり、暗号資産への投資を持ちかけられた。

 取引所(暗号資産交換業者)に口座をつくり、330万円をクレジットカード決済で入金した。

 その後、女性から海外のアプリをダウンロードするよう指示を受け、女性に言われるまま、全額をそのアプリの口座に送金した。

 男性が女性に金を引き出したいと相談すると、高額の手数料を求められたという。

 30代の女性は、マッチングアプリで知り合った男に勧められ、仮想通貨への投資をはじめた。

 最初は国内の取引所に口座をつくり、その後、男性からの指示で海外の取引所の口座もつくっている。

 消費者金融から借金をするなどして、500万円以上を投資したが、出金したいと伝えると200万円を請求されたという。

「海外に送って」は間違いなくやばい

 こうした事例で、気になったことがいくつかある。

 まずは、海外の取引所を使わせていることだ。

 おそらく、最初は、心理的なハードルの低い国内の取引所に口座を開設させて、仮想通貨への投資を始める。

 その後、慣れてきたところで、海外の事業者にも口座をつくらせ、送金するよう指示をしている。

 具体的にどんな取引所やどんなアプリが使われたかについては、報告書には記載がないが、国内から送金した時点で、仮想通貨をコントロールする権限は、本人から勧誘者側に移ったのではないか。

 さまざまな手法があるものの、多くの人は日本の取引所に口座を開設して、取引所経由で仮想通貨を売買して利益を狙っている。

 仮想通貨を買い、値上がりしたところで売るということであれば、海外の取引所に送金するのは、ほとんど意味がない。

 「知人」から「海外の口座に送金して」と言われたら、かなりの確率でやばい話だと考えるべきだ。

無登録の海外業者

 国民生活センターの報告書によれば、SNSで知り合った勧誘者から、海外の取引所などに誘導されるケースが多い。

 やっかいなのは、日本語に対応しているからといって、日本で登録しているとは限らないという点だ。

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