仮想通貨が大きく値を下げている。
Google Financeによれば、ビットコインは2022年6月24日朝の時点で282万円台で取引されている。
600万円近辺で取引されていた2022年初と比べて、半分ほどの水準にまで下落したことになる。
23日のウォール・ストリート・ジャーナルは、「仮想通貨の崩壊、金融イノベーションが生んだ闇」という見出しで報じている。
今が「買い」と見る分析もあるが、今後1万3000米ドル(約175万円)を割り込むとの見方もある。
仮想通貨はこれまでも高騰と暴落を繰り返してきたが、今度の暴落は「これまでと違う」とする悲観的な分析も出てきた。
最高値から8割下落も?
今後の値動きに関する最も悲観的な見方は、先ほど紹介した1万3000米ドルを割り込むというCNBCの報道だ。
この記事は、Absolute Strategy Researchという企業の共同創業者イアン・ハーネット氏の見解を紹介したものだ。
これまで、仮想通貨は過去最高値を記録した後、暴落し、過去最高値の80%近辺まで下落するという値動きを繰り返してきた。
1万3000ドルは、2021年に記録した過去最高値約6万9000米ドルから80%程度下落した水準にあたる。
2017年後半には2万米ドルに達した後、3000ドル近くまで値下がりしている。
薄い根拠だと反論したくなるかもしれないが、これまでの傾向は無視できないのも事実だろう。
セルシウスの危機
市場が激しく動揺した要因の一つとして挙げられているのが、仮想通貨の貸し付けをするセルシウス・ネットワークの経営危機だ。
セルシウスは6月13日に自社ブログで「極端な市場環境のため、すべての引き出し、スワップ、口座間の送金を一時的に停止する」と発表した。
同社は銀行より高い利子で仮想通貨の預金を集め、仮想通貨を貸す事業を行なっている。クリプト・レンディングと呼ばれる分野だ。
セルシウスは現在、仮想通貨の下落で経営状況が悪化し、事業の再編を進めていると報じられている。
顧客が預けた仮想通貨を同社が投資に回していたため、顧客からの引き出しの請求に対応できない状況になったと見られている。
同社の経営が破綻した場合、顧客が預けた仮想通貨を保護する制度は、いまのところ確立していない。
6月17日のウォール・ストリート・ジャーナルは、「個人投資家はセルシウスに資金を預ける際、ほとんど法的保護のない無担保融資を行なっているという認識はなかったかもしれない」と指摘している。
24日午前の時点でも、セルシウスのウェブサイトは「アップデート中」とのメッセージが表示され、同社のブログだけにアクセスできる状態が続いている。
「生き残りをかける局面」
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