さて、今回より全5回でお送りする「いやシリーズ」。このシリーズでは、「イヤ」から導き出される業界の当たり前を、実体験をもとにお送りいたします。
思い返せば、業界内での揉めごとは「新製品の発売前後」によく起こったような気がします。新製品はどれもすべて、「メーカーの自信の賜物」です。が、PCパーツのメーカーはだいたい海外で、いろいろと製品以外の仕様が日本の商慣習に合わないことが多々あります。
いまでも思い出す海外メーカー担当者の言葉。
「ニホンジン コマカイデスヨ!!」
……だからそれが「お・も・て・な・し」精神を持ち合わせているジャパニーズのいいところなんだって!!
海外の本社は世界を相手にしているため、ちっぽけな我が国JAPANのお願いなど、まずもって聞くことが難しいです。
そこで「代理店の出番」なのですね!
販売店に新製品と関連情報を案内し、「OK」と「イヤ」をいただき、その「イヤ」の部分をつぶすべく努力して実現し、新製品の成功を陰ながら支える……のが代理店の仕事だったりもします(日本に支社のある海外メーカーの担当者は巻き添えをくらいます)。
が、この「イヤ」の部分を取り除く実務が実に細かくて労力もかかります。
さて、今回は特に「イヤ」をくらいやすい、「パッケージデザインの変更」のお話です。たかがパッケージ、されどパッケージ。このパッケージの変更、一見簡単そうに見えて、実は地味に「イヤ」な要素を多くはらんでいます。
「新製品のパッケージ、かっこいいでしょ!! それに合わせて既存の製品のパッケージのデザインも変えたよ! あ、サイズもね!」
じつにさらーっとメーカーの担当さんからだいたいまずはメールで連絡がきます。
お、おう……、たしかにカッコイイね……、これで何もしなくても売れ……
ん な わ け が な い!!
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! めんどくせぇぇぇぇぇぇ!!」
社内を揺るがす叫び。このパッケージの変更、地味に確認事項が盛りだくさんで、かつ販売店さんにもお願いする事項が多くあるのです。
しかもメーカー側はこちらの状況を踏まえているはずがありません。どうせ言ったところで
「代理店さんお願いします」
と返されるのは当たり前です。
とりあえず、黙っているのもストレスがたまるので、言っても変わらないのは承知の上で不満をぶちまけます。
勝手に変えてんじゃねぇぇぇぇぇぇ!! なにがカッコいいだろ? じゃぁぁぁぁぁ!! カッコいいで売れたら担当者なんぞいらねーーーんたい!!
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