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AIアプリ/エージェントの信頼性欠如をインフラ層で解決する「Deep Trust AI Architecture」とは

“暴走するAI”をどう抑える? オラクルが提言するデータ基盤の新たな役割

2026年11月07日 12時30分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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データアクセス管理:AIのアクセス、AIの解釈に信頼性を与える

 3つめの領域は、データアクセスの管理/制御である。

 データの活用と保護を両立させるためには、データベース全体へのアクセス許可/拒否にとどまらない、きめ細かなアクセス管理が必要となる。ロアイザ氏も「AI生成アプリケーションに無制限のSQLアクセス権を与えるのは、賢いやり方ではない。もっと安全なアプローチが必要だ」と述べる。

「AIに無制限のSQLアクセス権を与えるのは、ティーンエイジャーにスマホを渡して『家族との連絡にだけ使って』と言うようなもの。きっとルールは破られる」

 その具体的な方法として「Oracle Deep Trust Data APIs」が紹介された。これは、AI Databaseが備える「JSON Duality View」を用いて、論理的なビジネスオブジェクトの単位で、AIのデータ読み取り/書き込みを制御する仕組みだ。管理者は、このビジネスオブジェクトに対して更新や整合性のルールを強制できる。

 「このAPIによって、AIモデルに侵害されたり回避されたりすることのない、信頼が担保された制限付きのアクセスを、データ自体に組み込むことができる」

「Oracle Deep Trust Data APIs」は論理的なビジネスオブジェクトレベルでのアクセス制限を可能にする

 もうひとつ紹介されたのは“AIの解釈”に対する信頼性を高める「Oracle Deep NL2SQL」だ。

 現在では、ユーザーがSQL文ではなく自然言語で業務上のクエリを実行できるようになっている(NL2SQL:自然言語からSQLへの変換)。ただし、AIがデータの背後にあるコンテキスト(業務知識や情報の定義など)を正しく理解していなければ、誤ったデータを参照したり、誤った答えを返したりしてしまうことになる。

 Deep NL2SQLは、この問題に取り組むものだ。具体的には、企業のビジネスナレッジ(組織やルール、専門用語など)とデータナレッジ(テーブル、カラム、ビュー、ストアドプロシージャの意味や目的など)を整理し、AIに与えることで、AIがユーザーの質問を正しく解釈できるようにサポートする。

たとえばユーザーが「トップ顧客」「アジア」「この四半期」と言ったときに、ビジネスナレッジを参照して、それがどういう意味なのか、関係するデータがどこにあるのかを明確にする

データナレッジは「CN=Country Name」などデータの意味、構造などが蓄積される。AIが正確に理解するためには、こうしたナレッジも必要だ

 さらに、AIの解釈が誤っている場合は、ユーザーからのフィードバックを受けてナレッジを継続的に修正していける仕組みも備えている。ロアイザ氏は「間違った理解をしているティーンエイジャーに対して、そのつど訂正してやることで成長をうながす。AIも同じだ」と語った。

ナレッジの誤りをユーザーがフィードバックし、継続的にそれを取り込むことで、常に正確さを向上させる

アプリ開発:新たな開発言語でAI生成コードの複雑化リスクを防ぐ

 最後のレイヤーがアプリ開発である。

 AIコーディングの普及により、誰でも自然言語で指示をするだけで、複雑なアプリケーションを構成するコードを書けるようになった。ただし、膨大なコードが生成されるようになったために、コードの安全性を確認したり、メンテナンスをしたりする作業負担が重くなっている。

 「AIが生成する数千行ものカスタムコードは、果たして信頼してよいものだろうか。人間が理解し、改良していけるコードになっているか。現実的には、AI生成コードをすべて理解している人間などいないだろう。したがって、アプリ開発にも、AI時代に即した新たなアプローチが必要になっている」

 AIコーディングにまつわるこうした課題を解決するために、オラクルは「Oracle APEX AI Application Generator」をリリースした。

 このアプリ開発ツールで重要なポイントは、「APEXlang(APEX言語)」と呼ばれる宣言型アプリ開発言語を採用し、実行するコードではなく“必要なアプリの機能”だけを宣言したコードを生成する点だ。これを解釈して実行するAPEXエンジンの側が、アプリのセキュリティや可用性、スケーラビリティといった部分を一括で担う。

「Oracle APEX AI Application Generator」はAIアプリ生成ツールだが、実装コードではなくAPEXlangでアプリを出力する点が特徴だ

 ロアイザ氏は、実行するコードを直接書かないAPEXlangのアイデアは、SQL言語から学んだところが大きいと説明した。“データアクセスの機能”だけを指定するSQL言語と、それを解釈して実行するSQLエンジンの役割分担と非常に似ているという。

 そして、APEXlang+APEXエンジンによる開発手法により、アプリのセキュリティが大幅に簡素化され、強化されると強調した。数百のアプリがあったとしても、アプリには実装コードが書かれていないため、脆弱性は発生しない。APEXエンジンに脆弱性パッチを適用すれば、すべてのアプリが一括で修正される仕組みだ。

 「AIには、求めるアプリの機能を生成させることだけに集中させ、そのアプリの実装や実行は、オラクルと数千の顧客が25年以上かけて洗練させてきたAPEXエンジンに任せるべきだ」

APEXlangは、アプリの実装ではなく“機能”を定義する。AIが生成するコードでも比較的シンプルで、理解しやすく改修も容易になる

デモビデオより、React(左)とAPEXlang(右)のコード比較。同じ機能のアプリをAI(Codex)に生成させたものだが、Reactが大量のファイルとライブラリで構成されているのに対し、APEXlangは非常にシンプルだ

「実行コードをアプリごとにAI生成させるのは、旅行のつどティーンエイジャーに車のエンジンを組み立てさせるのと同じ」

* * *

 セッションの最後に、ロアイザ氏は「AIアプリやエージェントのインフラに『信頼』を組み込むDeep Trust AI Architectureは、AIのリスクを低減させながら、AIによる生産性向上やイノベーションを加速させる」とまとめた。

 「今回ご紹介したアーキテクチャの各要素は、もちろんすべてを取り入れるのが理想的だが、部分的に採用しても価値が得られる。Oracle AI Databaseを導入済みであれば、追加コストをかけることなくすぐに利用できるのもポイントだ。大量のAIアプリ、AIエージェントが皆さんの会社に押し寄せるのは時間の問題だ。皆さんには、今すぐ取り組んでほしい」

ロアイザ氏は、Deep Trust AI ArchitectureによるAIリスクの軽減に「今すぐ取り組んでほしい」と語った

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