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新清士の「メタバース・プレゼンス」 第173回

OpenAI「Astra」は何でもできる、だからこそ“プロの指示”が必要になる

2026年09月14日 07時00分更新

文● 新清士

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最後に差をつけるのは人間の“ダメ出し力”

 V01からV16の作成にかかった作業時間の合計は、約293分(約4時間53分)でした。ほかの作業も並行して進めていたため、GPTの作業完了を待つ時間のほうが圧倒的に長く、筆者がPCに触れていない時間も含めると7時間になりました。

 こうして、非常に高コストだった馬のアニメーション作成が、GPT-6 Astraによって、1日の作業で完成するほど手軽になったのです。

 繰り返しますが、ここまでの作業もやはりGPT-6 Astraに任せており、BlenderのUIには一度も触れていませんし、UE5.8も、自分でUIを操作してテストする以外には触れていません。

 ただし、重要な点があります。筆者は馬のアニメーションをどのように修正すれば、より自然で望ましいものになるのかがまったくわかっていませんでした。

 今回の作業をXで公開しながらしたこともあり、3DCGの専門家を含む多くの方からフィードバックを得られ、短期間で品質を向上できました。GPT-6 Astraは、鋭い指摘を受けるほど内容を吸収し、より精緻なアニメーションを作り出してきました。専門性が高い人ほど、AIが内包する専門知識を呼び出せるため、成果を出しやすいとも言えます。この傾向はますます強まっていくのではないでしょうか。

 一方で、筆者は今回の作成工程を「スキル」としてGPTの記憶に登録し、再利用できる形にまとめました。別の動物を作る際には、制作を確実に効率化できると思います。使えば使うほど、専門知識が蓄積され、作業環境を強化していくAIでもあるのです。それは時間が経つにつれて、能力がどんどん上がることを意味します。

 GPT-6 Astraの登場はエンタメ分野に大きな影響をもたらし、さまざまなものを根本から変えるのは間違いありません。3Dモデリングやアニメーション作成に加え、ゲームのコーディングまでこなす恐ろしいほどの汎用性を持つAIだからです。

 OpenAI共同創業者兼プレジデントのグレッグ・ブロックマン氏は米国時間9月3日、GPT-6 Astraについて、自身はOpenAIがAGIに到達したと考えていると述べ、記者向け説明会を「AGIの時代へようこそ」という言葉で締めくくりました。今回の体験を振り返ると、宜なるかなとも思います。

 筆者も毎日のように触り続けていますが、できることがあまりに多く、GPT-6 Astraでできることの全貌をまだ把握できていません。ただ、後戻りできない変化が起きることは間違いありません。AIによって、人間の役割の比重はますます「作業」から「判断」へ移ろうとしています。

 

筆者紹介:新清士(しんきよし)

1970年生まれ。株式会社バリーン・スタジオ Creative Tech Lab./デジタルハリウッド大学大学院教授。慶應義塾大学商学部及び環境情報学部卒。ゲームジャーナリストとして活躍後、VRマルチプレイ剣戟アクションゲーム「ソード・オブ・ガルガンチュア」の開発を主導。2026年3月に発売したクラフト系サバイバルゲーム「Exelio」のAIによるキャラクターデザイン、3Dプロップの作成を担当。著書に『メタバースビジネス覇権戦争』(NHK出版新書)がある。

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