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新清士の「メタバース・プレゼンス」 第173回

OpenAI「Astra」は何でもできる、だからこそ“プロの指示”が必要になる

2026年09月14日 07時00分更新

文● 新清士

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“人が入った馬”から自然な走りへ プロの指摘でV16まで進化

 さらに、少し変わった作業を任せてみることにしました。

 馬の3Dモデルのモーションを作れるか試す作業です。

 これまで、馬のボーン(骨)の設定とアニメーション付けは、モーションキャプチャーで撮影するには体育館ほどの広さのスペースが必要で難易度が高いものでした。人間が手付けする場合も、馬の動きを理解する必要があり、プロのモーションデザイナーにとっても困難でした。

 GPT-5.6 SolまでのAIでは、Blender MCPを通じ、既存の人間モデルにボーンを入れて動かせるようにすることはできていました。人間については、基本となっているボーン技術が確立されているため、AIにとっては理解しやすいものであったようです。しかし、人間以外のモデルになると、うまく機能していませんでした。

 そこで、馬のボーンを設定し、静止した状態から歩きだして、だんだんと全速力になり、最後にはまた静止する一連のアニメーションまでを作成させてみました。これもいずれUE5.8に持っていき、ゲームなどに応用することを前提にしています。

 元となる馬のイメージはGPT Image 2で作成し、それをHi3Dで3D化しました。最初に生成されたモデルはポリゴン数が100万と非常に多かったので、ゲームで扱いやすいように10万ポリゴンまで削減させました。

 そして、ボーンを入れ、アニメーションを作らせてみました。

 正直、最初のバージョンは、人間が被り物でもしているような走り方で、とても見られるような品質ではありませんでした。筆者はその過程をXに投稿したのですが、多くの方から不自然さを指摘されました。アニメ演出のプロからは「動きが駄目すぎる」という意見や、「無料で公開されている動物を動かすアニメーション教本を読むことを勧める意見」をいただきました。そこで筆者は、いただいた意見をそのままGPT-6 Astraへのフィードバックとして渡し、教本の該当ページを読んで問題を解決するよう、指示していきました。

 フィードバックを反映したバージョンを重ねて公開すると、さらにさまざまなフィードバックをもらいました。「背骨に合わせて首も伸び縮みする」、「前肢の膝が通常では曲がらないタイミングで曲がってる」、「並足というのをYouTubeで見ると歩法が解りやすい」といったものです。そして、それらの指摘も同じようにGPT-6 Astraへフィードバックします。すると、YouTubeにある馬の動きの解説動画をコマごとに確認し、脚の動きを計測して、モーションの精度と質をさらに高めていきました。

 それを繰り返すと半日もたたないうちに、初期版より確実によくなりました。

△V01、V02、V05、V10を比較した動画

 筆者は、馬についての知識はほとんどありませんが、改善されていることはなんとなくわかります。しかし、精度が上がれば上がるほど、いただく指摘は鋭くなりました。「球節の動きが気になり、勢いを後方に逃がしていないので動きが硬い」、「体重のかかり具合が不自然」といったものです。

 ある方が、Shin Megami Bosonさんが試している簡易的な荷重モデルを使って、全身を連動させる方法を紹介してくれました。この方法を使えば、現存しない恐竜の動きを自然に見せるアニメーションを作成できます。早速GPT-6 Astraに導入を指示して作成したV14では、動きがさらに改善しました。

△簡易的な荷重モデルで恐竜を動かしているShin Megami BosonさんのXアカウント

 さらに「全身を動かすボーン数がないので、体の動きが硬い」と指摘を受けたため、内容をGPT-6 Astraに伝えて修正させたところ、前足の上に、体を動かすためのボーンを追加し、体の動きに連動して体幹を自然に揺らしながら移動するようになりました。

 最終版のV16でも完璧とまでは言えないと思いますが、アニメーションとしてかなり自然な水準まで持っていくことができました。

△V10、V12、V14、V16の比較動画

 UE5.8にも持ち込んでみました。決められたルートを走るだけですが、アニメーションの歩幅に合わせてきちんと移動します。もちろん、リアルタイムで動作しています。簡易的な牧場を作り、馬を走らせています。足跡や土煙のエフェクト、学校で使った時間変更機能、ドローンカメラで馬を適切に撮影する機能なども追加しています。これらはUEのビジュアル言語であるBlueprintで制御されていますが、Blueprintを意識する必要はありません。

 ここから、プレイヤーが操作できる馬にしたり、凸凹のある場所に合わせたアニメーションへ展開し、インタラクティブ性をさらに高めることもできます。

△UE5.8上でリアルタイムで動作する3Dの馬。この動画は、V12のアニメーションなのでモーションに不自然さは残っている

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