連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第239回
市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 6月20日~6月26日
若手エンジニアの半数が「管理職になりたくない」理由は/AIコーディング普及で開発ボトルネックは「レビュー」へ/社内不正が増加傾向、ほか
2026年06月29日 08時00分更新
本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えします。
今回(2026年6月20日~6月26日)は、AIコーディング(AI生成コード)の導入効果と今後の課題、日本企業の社内不正被害の実態、進んでいないランサムウェア被害への備え、若手ITエンジニアが「管理職になりたくない」意識の背景についてのデータを紹介します。
[開発] 急速に進むAIコーディングツールの活用、課題は「ガバナンス」「トレーサビリティ不足」など(GitLab、6月25日)
・回答した開発者/技術購買担当者の6割が「投資対効果が期待を上回る」
・ただし、8割超はAI生成コードが「新たな技術的負債を生むリスク」と認識
・開発のボトルネックが「コード作成からレビュー・検証へ移行した」は85%
日本を含む世界6カ国の開発者およびテクノロジー購買担当者を対象に、「コード生成とAI」の現状や認識を調べた。AIコーディングツールの投資対効果が「期待を上回った」と答えた割合は60%に上り、78%は「コード出力の高速化」を、73%は「コード品質の向上」を実感している。個々の開発者の生産性が向上する一方で、レビュー/検証が新たなボトルネックとなり、開発プロセス全体ではそれほど生産性が向上していないパラドックスも。92%が「AI生成コードに関する何らかのガバナンス課題を抱えている」と答えており、91%が「今後12カ月以内にガバナンスツールへの投資を検討している」という。
⇒ 開発者のコード生成が高速化/効率化し、投資対効果も確認されているため、AIコーディングツールは“AI投資の模範分野”となっています。ただし、開発プロセス全体を見るとまだ課題もあり、改善が必要な部分も。そして、次の課題は「トレーサビリティ」と「ガバナンス」だと指摘されています。
[セキュリティ] 社内不正の相談件数は前年比で2割増加、4割が「情報の持ち出し」被害(デジタルデータソリューション、6月22日)
・「社内不正」相談件数、2025年度は前年度比で20%増加
・社内不正事案の約4割が「情報持ち出し」、被害は「製造業」がトップ
・被害企業の9割超が「外部媒体接続の利用制限なし」
デジタルデータフォレンジックを手がける同社に、社内不正についての相談をした企業260社を対象とした調査より。最も多かった社内不正が「情報持ち出し」(約41%)で、被害の多い業界は「製造業」が3年連続の首位。以下「情報通信業」「建設業」が続いた。情報持ち出し被害を受けた企業のうち、「外部媒体接続を制限していた」企業はわずか6%にとどまり、大半の企業でUSBメモリやクラウド経由の持ち出しが可能な状態にあった。持ち出された情報は「顧客情報」「技術機密」「業務データ」など、他社でも利用価値の高い情報が中心。退職者や競合他社への転職者が関与する事例も確認されている。
⇒ 情報持ち出し被害が発覚するのは「4月と10月」が多く、退職/転職や人事異動が大きなきっかけになっていることが示唆されています。被害企業の94%が「外部媒体接続の制限なし」という運用をしていることから、ルールの整備と合わせて技術的な対策も有効そうです。
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