ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第879回
なぜAIには「光」が必要なのか? NVIDIAが解説するスケールアップネットワークの低遅延・省電力化戦略
2026年06月08日 12時00分更新
多波長・低速化(DWDM)がもたらす
圧倒的な省電力と低遅延のメリット
この後、DWDMを構成するためのコンポーネントの分析など問題点などが論じられているがここでは割愛する。シミュレーションでは、同じ200Gbpsのリンクを構築するのに8波長×25Gbpsは3.4pJ/bitで済むのに2波長×100Gbpsでは4.7pJ/bitと大差がついたことが示されている。
同様にPHYに関しても、例えば224Gbps(112GT/secのPAM4)×1と32Gbps NRZ×9では、消費電力も少なくプロセスノードも古いもので良く、それでいてArea BW Density(単位面積あたりの転送速度)は大きく、レイテンシーも少ないとされている。
GPUの内部は数GHzの動作周波数で、メモリーI/Fでもせいぜい10GHz程度なので、224GHzもの信号になると1:20や1:30などの速度変換が必要になる。32GHzでは1:3~4程度の速度変換で済むあたりが楽だし、信号速度が低ければ消費電力も減るわけだ
これを利用する、「近未来の」スケールアップ・ネットワークの構成図が下の画像だ。左はやや先(LightMatterのPassageを連想する)な構成で、最初に出てくるのは右側の方だろう。
近未来のスケールアップ・ネットワークの構成図。LightmatterのPassageは連載839回で説明している
将来的にはシャーシ内の複数のGPUや、1つのパッケージ内の複数のGPUダイを直接光信号でつなぐ格好だろう。これが一番オーバーヘッドが少ないからだ。とはいえ、短期的にはシャーシ内は電気信号、シャーシ間を光信号という使い分けになる(おそらくNVLink 8はこうなるだろうと筆者は予想している)が、それは左側の構造に近いものになると思われる。
今回は2月の発表なので、3月のどんでん返しの話は反映されていないが、もう水面下でいろいろ仕込まれていたことが透けて見える内容であった。
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

この連載の記事
-
第878回
PC
もはや銅配線は限界? 3200Gイーサネット実現に立ちはだかる200GT/秒の壁 -
第877回
PC
「不良品ゼロ」と「水冷NG」の狭間で。ルネサスが明かした車載チップレットSoCのリアル -
第876回
PC
このままではメモリーが燃える! HBM4/5世代に向けた電力供給の限界と、Samsungが示すパッケージ協調設計の解 -
第875回
PC
1000A超のAIプロセッサーをどう動かすか? Googleが実践する垂直給電(VPD)の最前線 -
第874回
PC
AIの未来は「電力」で決まる? 巨大GPUを支える裏面給電とパッケージ革命 -
第873回
PC
「銅配線はまだ重要か? 答えはYesだ」 NVIDIA CEOジェンスンが語った2028年ロードマップとNVLink 8の衝撃 -
第872回
PC
NVIDIAのRubin UltraとKyber Rackの深層 プロトタイプから露見した設計刷新とNVLinkの物理的限界 -
第871回
PC
GTC 2026激震! 突如現れたGroq 3と消えたRubin CPX。NVIDIAの推論戦略を激変させたTSMCの逼迫とメモリー高騰 -
第870回
PC
スマホCPUの王者が挑む「脱・裏方」宣言。Arm初の自社販売チップAGI CPUは世界をどう変えるか? -
第869回
PC
半導体プロセスの新たな覇権! インテルのDNNプロセッサーはAMDやMetaを凌駕する配線密度と演算密度 - この連載の一覧へ












