RHEL・OpenShift・Ansibleの進捗が語られた「Red Hat Summit 2026」
ついに“永遠に使える”RHELが登場 Red HatはAI時代も「他にはない選択肢を提供していく」
2026年05月26日 08時00分更新
Red Hatは、2026年5月11日~14日まで、米アトランタで年次イベント「Red Hat Summit 2026」を開催した。今年のテーマは「選択の自由(Choice)」だ。エンタープライズ向けのオープンソースを生業とする同社であるが、AI時代においても、多様な選択肢と企業が求めるガバナンスを両立させていく姿勢を示した。
2日目の基調講演のステージに立ったシニアバイスプレジデント 兼 CPOであるアシェシュ・バダニ(Ashesh Badani)氏は、「Red Hatは選択肢を提供する。しかも、他社とは異なる選択肢だ」と切り出しつつ、「それはサポートされた、ガバナンスが担保された選択肢である」と強調した。
Red HatはRed Hat Enterprise Linux(RHEL)、OpenShift、Ansibleのポートフォリオを持ち、これらの基盤をまたぐ「Red Hat AI」によりAI活用を推進している。「新しいプラットフォームを用意する必要はない。運用チームが使い慣れたRHEL、OpenShift、AnsibleでそのままAIを使える」とバダニ氏は語った。
ついに登場、「永遠に」使えるRHEL
本イベントでは、RHEL関連の複数の発表が行われている。その中でも最大のインパクトは、「Red Hat Enterprise Linux Long-Life Add-On」、通称“RHEL FOREVER”のリリースだろう。
これはRHELの延長サポート終了後も、年間サブスクリプション形式を更新し続ける限り、無期限にサポートを継続するというアドオンである。まさに「特定のバージョンを永遠に使い続けたい」というユーザーの要求に正面から応えるものであり、セキュリティ修正やバグ対応が必要な限りサポートは続いていく。
RHEL FOREVERが安定性を重視する組織向けだとすれば、今年初めに投入した「Red Hat Enterprise Linux for NVIDIA」は、先進的な技術革新を活用したい組織向けの選択肢だ。
これは、NVIDIAが年次サイクルで投入する新GPUに合わせてアップデートを提供しながら、既存のRHELシステムとの互換性も維持するという、特別なエディションである。Oracle Cloud Infrastructure(OCI)に対応した「Red Hat Enterprise Linux for OCI」も、2026年後半に提供開始予定だ。
セキュリティ面では「Red Hat Hardened Image」の提供開始を発表した。最新の言語・ランタイム・データベース・Webサーバーなどに対応したマイクロサイズの強化済みコンテナイメージであり、「ゼロCVE(脆弱性なし)」を目標としているという。
カタログサイトである「images.redhat.com」からRHELサブスクリプションの追加費用なしでダウンロードでき、様々なワークロードの基盤として利用できる。これらのイメージは、エージェント型ソフトウェアファクトリーの仕組みによって継続的にビルドされ、ヒューマン・イン・ザ・ループにより品質が担保されている。
そのファクトリーの仕組みから生まれた開発者向けディストリビューションである「Fedora Hummingbird Linux」も発表された。アップストリームのLinuxコミュニティが出すアップデートをそのまま、ローリングリリースOS(断続的に更新されるOS)として提供するもので、AIエージェントの実験環境として位置づけられる。
開発者向けには、すでに400万回以上ダウンロードされているPodman Desktopの正式サポート版「Red Hat Desktop」の一般提供を開始した。Red Hat Hardened ImageやRed Hat Trusted Librariesと直接連携し、ソフトウェアサプライチェーンのコンプライアンスに準拠するイメージやライブラリを利用できる。AIエージェント開発向けには、エージェントを開発・本番環境から隔離するローカルサンドボックス機能も追加している。
RHEL最新版である10.2および9.8もリリースした。6カ月ごとのリリース戦略に沿ったもので、今回はポスト量子暗号の拡充と公開鍵インフラの強化が主なアップデートだ。コンテナイメージを暗号署名して実行環境を保証する「Sealed Images」のテクニカルプレビューも提供。さらに、RHELのデプロイメントをエージェントから管理できるよう、MCPサーバーの対応範囲を拡大している。
急成長するOpenShift、AnsibleにAI駆動の自動化を統合
コンテナの管理・運用基盤であるOpenShiftも順調に成長中だ。2026年第1四半期のARRは20億ドルに到達し、仮想化についてもOpenShift Virtualizationベースの仮想マシンがこの1年で417%増加するなど、急速に採用が広がっているという。OpenShiftは、過去12カ月で4回のリリースを重ね、特に、「AIワークロード管理」「仮想化移行」「セキュリティ」の3領域で進化している。
AIワークロード管理では、分散推論を実現するllm-d、動的リソース割り当てによる専用ハードウェアのスケーリング、推論ゲートウェイによる効率的なトークンルーティングなど、KubernetesコミュニティとCNCFが過去2年で積み上げてきた成果を取り込んだ。
仮想化移行では、コンテナとVMで異なるメモリオーバーコミットの制御に対応。クラスター間のライブマイグレーションにより、ダウンタイムなしでのワークロードの移動も可能になった。セキュリティ面では、ゼロトラスト・ワークロードIDマネージャーの追加に加え、OVN-KubernetesのネイティブBGPサポートによるネットワーク分離に対応している。
今後はエージェントスキルとMCPサーバーの整備を進め、OpenShiftをエージェント型ワークフローに対応させる方針だ。
運用自動化ツールのAnsibleでは、これまでのタスク駆動・イベント駆動の自動化に加え、AI駆動の自動化も統合するAutomation OrchestratorをQ3に提供する。3つの自動化モードを単一の制御プレーンで設計・管理・実行でき、トリガーが何であれ一貫した承認ゲートと監査証跡が適用される。AIエージェントがAnsibleを呼び出した場合も、人間が操作した場合とまったく同じガバナンスフレームワークが働くという。
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