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Red Hat AI / RHEL / OpenShift / Ansibleのアップデートをおさらい

「AI推論サーバー」から「RHEL 10」まで Red Hat Summit 2025の発表まとめ

2025年06月09日 09時00分更新

文● 大河原克行 編集● 福澤/TECH.ASCII.jp

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 レッドハット(Red Hat)は、2025年5月19日~22日に、米ボストンで開催された年次イベント「Red Hat Summit 2025」で発表した内容を、日本メディア向けに説明した。同イベントは、全世界で6000人、日本からは120人が参加したという。

 初日の基調講演に登壇したCEOのマット・ヒックス(Matt Hicks)氏は、「既存のインフラにAIを統合し、“業務のなかに自然にAIを組み込む”ことがレッドハットの使命である」と発言。多くの企業で、「AIチーム」と「通常業務」との間に分断が発生するなかで、Red Hatはそれらをつなげるテクノロジーに注力する姿勢を表明した。

 それを裏づけるように、AI戦略の柱に、最適なAIの利用を推進する「Any model, any accelerator, any cloud」を掲げながら、「Red Hat Enterprise Linux (RHEL)」や「OpenShift」、「Ansible」の上で、AIを活用する方法を提案するなど、AI関連の発表が相次ぐイベントとなった。ここからは、各領域の主要な発表を紹介する。

Red Hat Summit 2025でのCEOのメッセージ

Red Hat AI:推論サーバー「AI Inference Server」が登場

 新たに発表された「Red Hat AI Inference Server」は、オープンソースのLLM推論エンジン「vLLM」と、モデル軽量化のツールである「LLM Compressor」で構成される推論サーバーだ。RHELやOpenShiftに加え、LinuxやKubernetes環境でも実行可能で、その機能はRHEL AI、OpenShift AIでも利用できるのが特徴だ。

推論サーバー「Red Hat AI Inference Server」

 vLLMは、オープンソースのデファクトスタンダードともいえる推論エンジンで、月間で数百万件ダウンロードされている。主要なオープンモデルの実行をサポートし、最新の推論技術を統合、幅広いアクセラレータにも対応する。

 LLM Compressorは、最新の量子化(パラメーターをより少ないビットで表現する軽量化手法)アルゴリズムをサポートしたオープンソースツールで、モデルサイズを軽量化しつつ、デグレーション(モデル品質の悪化)を抑止する。Red Hatは、量子化によって軽量化した検証済みの各LLMを、Hugging Faceリポジトリで公開しており、 OpenShift AIのモデルカタログ機能でそれらをデプロイすることも可能だ。

「LLM Compressor」で軽量化したLLMのベンチマーク

 新たなオープンソースプロジェクトである「llm-d」も発表された。Kubernetesベースの分散推論基盤であり、vLLMを主要コンポーネントに採用し、LLMの推論処理特性に応じて負荷分散する「Inference Gateway」も組み込まれる。llm-d には、GoogleやAMD、Intel、NVIDIA、Hugging Face、CoreWeaveなどが参加している。

オープンソースプロジェクト「llm-d」

 また、Metaとの共同プロジェクトである「Llama Stack」では、AIエージェント作成に関わる標準APIを提供。AIアプリケーションに必要なコンポーネント(モデル、ベクトルデータベース、ガードレールなど)を、一元的なAPIから利用可能にする取り組みだ。MCP(Model Context Protocol)も併用でき、今後、OpenShift AIにLlama StackとMCPを統合していく予定だ。

Metaと進める「Llama Stack」プロジェクト

 なお、ブレイクアウトセッションでは、日立製作所におけるOpenShift AIの活用事例が紹介された。日立では、マルチテナントでGPUを効率的に利用するための仕組みとしてOpenShift AIを活用。社内向けAIプラットフォームの運用を開始すると共に、そこで得られた知見を活かした生成AIソリューションを日本国内でも展開するという。

Red Hat Enterprise Linux:次世代を担う「RHEL 10.0」がリリース

 Linuxディストリビューションである「Red Hat Enterprise Linux(RHEL)」では、メジャーバージョンアップである「RHEL 10.0」が提供開始された。AIネイティブアプリケーションを動作させる基盤として位置づけられ、「次世代を担うリリース」と称される。

 RHEL 10.0では、OSのイメージをDockerコンテナとして管理する「Image Mode」が追加された。スマートフォンのようにOSのアップデート/ロールバックができる。また、CLI上でRHELについて質問できる生成AIアシスタント「Lightspeed」も実装されている。

「Image Mode」

「Lightspeed」

 その他のRHEL 10.0のアップデートとして、ソフトウェアのライフサイクルを確認でき、今後リリース予定のソフトウェアも把握できる「Red Hat Insights Planning」、クラウドプロバイダー(AWS・Azure・Google Cloud)に最適化されたRHELを各マーケットプレースから提供する「Cloud Optimized RHEL」、耐量子計算機暗号(PQC)への対応などが挙げられた。

 なお、コンプライアンスの準拠に対応すべく、ELS/EUS/EEUSの脆弱性修正ポリシーを変更している。これまではRed Hatの社内スコアリングをベースにしていたが、CVSS Score 7.0以上のCVE脆弱性を修正する仕組みに変わっている。

 また、「Red Hat In-Vehicle OS」が、ASIL-Bを取得したことも発表。車載用途に特化したLinuxでは初めて安全認証を取得しており、2025年第3四半期から、自動車メーカーやサプライヤー向けに提供開始する。

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  • 角川アスキー総合研究所