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「Google Cloud Next '26」現地レポート 第1回

エージェントを“使う”から“管理する”に変える「Gemini Enterprise Agent Platform」

AIエージェントだけで“1万人参加のマラソンイベント”を計画せよ ― Google Cloudが年次イベントでデモ

2026年05月01日 08時00分更新

文● 末岡洋子 編集● 福澤/TECH.ASCII.jp

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A2UIでエージェント自身がUIを生成する

 次は、エバリュエーターエージェントによる検証フェーズだ。同エージェントが、距離が正確に42.195kmになっているか、コミュニティへの影響はどうかといった基準でルートを採点する。

 その結果をどう見せるかという課題には、Googleが2025年12月にオープンソースプロジェクトとして発表した「A2UI(Agent-to-User Interface)」が応える。これは、エージェントの評価結果を、整形されたUIとして動的に生成するコンポーネント群だ。

エバリュエーターエージェント

 A2UIでは、ワンショットのプロンプト例を与えることでGeminiがインターフェースの生成方法を理解し、エージェント自らが必要なUIを設計・構築する。デモでは、エージェントが各コンポーネントを動的に生成し、地図上にルートをレンダリングして見せた。

観測可能性とCloud Assistによる自律デバッグ

 エラーの特定からデバッグまでも自律的に実行される。

 ここまで順調に進行していたが、検証済みルートでランナーの動きや交通への影響などを再現するシミュレータエージェントが、突如クラッシュ。Gmailにアラートが届き、デバッグをする流れになった。

 Gmailに届いたアラートからCloud Monitoringのトレースビューを開くと、エージェントがツール呼び出しの途中でエラーになっていることが確認できた。ログは膨大だが、エラーログからワンクリックでGemini Cloud Assist(クラウド運用のAIアシスタント)による自動収集・解析が始まり、根本原因が特定される。

 その原因はコンテキストウィンドウの上限(100万トークン)の超過であり、コンテキストを定期的に圧縮する「Event Compaction」機能が十分な頻度で実行されていなかったことが判明。Cloud AssistはIDEと連携してGitHubの関連Issueを検索した上で、設定パラメーターの変更コードを提案。エンジニアが承認するとCI/CDが自動起動し、修正済みエージェントが再デプロイされた。

Agent IdentityとAgent Gatewayでエージェントも「ゼロトラスト」

 次はレース当日の準備だ。水やバナナ、仮設トイレといった備品の調達はノーコードで作った調達エージェントに任せる。これは、Gemini Enterpriseのエージェントデザイナーにプロンプトを入力するだけで生成されたエージェントであるが、開発者がコードで作ったプランナーエージェントとも同じ基盤上で協調する。

ノーコードで調達エージェントを生成

 しかし、こうしてシステムが拡大するにつれ、エージェントに適切な権限が与えられているかが問題になる。

 デモでは、夜にランナーが走るため、追加でLEDサングラスや発光グッズを配ることになった。そこで担当者が、ルート計画だけを担うプランナーエージェントに予算増額を指示したところ、財務データの書き換えまで実行できてしまった。これは、エージェントの権限範囲が適切に制御されていない例だ。

 この問題を解決したのが、エージェントにIAMポリシーを適用できる「Agent Identity」とエージェント間の通信プロキシである「Agent Gateway」である。これらで、財務MCPサーバーへのアクセスを「読み取り専用」に制限して、エージェントの書き込みリクエストをブロックしている。

 また、この3月に買収が完了したWizの新しいエージェントを利用することで、脆弱性を自動検知して、それに対する修正案まで受け取ることができる。

 Wizのエージェントは、WebアプリやAPIの脆弱性をリアルタイムで検証する「Wiz Red Agent」、クラウドのテレメトリや実行時のシグナル、IDコンテキストから証拠を収集し、脅威を調査する「Wiz Blue Agent」、自動修復(レメディエーション)エンジンの「Wiz Green Agent」の3つからなる。

 デモでは、コードとインフラを横断的にスキャンして攻撃パスを可視化するセキュリティグラフ上で、Wizのエージェントが協調し、優先度の高い修正箇所を提案している。

セキュリティグラフ上でWizのエージェントが修正箇所を提案

エージェントを「使う」から「管理する」に転換する

 一連のデモで完成したのは、ルートの生成・評価から1万人規模のランナーのシミュレーション、備品調達のロジスティクス、ガバナンス統制、障害の自動検知・修復まで、マラソン大会の計画から運営準備までを、エージェントが一気通貫で実行するシミュレーターだ。今回のデモで使われたコードはすべてGitHubで公開され、Google Cloudのクレジットが付いたCodelab(学習ガイド)により、デモと同じ環境を無償で試せるという。

 このように、Gemini Enterprise Agent Platformは、エージェントを「使う」段階から「管理する」段階に進めるための基盤として打ち出されている。

 米国ではAIエージェントを導入しなければ競争に勝てないという意識から、先進的な動きが目立つ。一方で日本企業は「ガバナンスとセキュリティをどう担保するかが大きな懸念となっている」とグーグル・クラウド・ジャパンで技術本部 AI技術部長を務める下田倫大氏は話す。Gemini Enterprise Agent Platformはこのような懸念を払拭する一手となるか期待したい。

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