Mr.ウォーカー・玉置泰紀がキーマンに聞く「新しい街づくりのOS」 第6回

Google、TwitterなどのIT企業で活躍してきた牧野氏が探る、情報の多層化がもたらす「次世代都市のOS」【一般社団法人メタ観光推進機構・牧野友衛氏】

文●玉置泰紀(エリアLOVEウォーカー総編集長)

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新しいまちづくりの「方程式」と情報のソフト面

玉置: これまでお聞きしてきたことを踏まえて、トータルで伺いたいのですが、これからの「新しいまちづくり」についてです。個別のポイントは伺ってきましたが、2026年以降の新しいまちづくりの「方程式」とでも言うべきものはあるでしょうか。従来の都市マスタープランのようなものとは違うまちづくりを、僕らは提案できるのではないかと考えています。現在、東京都や京都市など、さまざまな自治体の観光やまちづくりに関わっておられる中で、その可能性をどう感じていらっしゃいますか?

牧野: 観光とまちづくりは微妙に違う部分もありますが、先日、デベロッパーの会に呼ばれてお話しした際も「メタ観光をどうまちづくりに活かすか」というテーマがありました。僕らはハードウェアではなく、どちらかというと「情報としてのソフトウェア」を見ているわけですよね。ここにはどういう意味があるのか、どう見られているのか、どういう歴史があるのか。従来のまちづくりでは、ハード面ばかりが重視され、こうした「情報」という要素があまり考慮されてこなかったように思います。

 これからの時代において大事なのは、こうした要素を加味していくことだと思います。例えば京都もそうですが、同じ場所であっても「どの時代か」によって全く意味が違ってきますよね。そうした目に見えないけれど街が持っている「情報」をいかに伝え、活かしていくか。これをやっていかないと、正直、どこの街も同じようになってしまい、意味がなくなってしまうのではないかと感じています。

玉置: 牧野さんは東京都、墨田区、京都市などの観光部会などにも参加して幅広い話をされていますが、行政の方々や観光のプロの方々に、そのあたりの話は響いている実感はありますか?

牧野: そういう意味では、メタ観光のワークショップを実際に見た人たちには、まず響きますね。江東区や墨田区でもそうですが、最初は懐疑的だった人たちも、実際に現場を見ると「あ、これは面白いな」と一転して理解してくれます。やはり言葉だけでは伝わりにくい部分があるんですよね。ただ、行政の「観光の委員会」のような公的な場では、なかなかそこまでの深い議論には至らないのが正直なところで、そこが難しい部分だと感じています。ただ、そのような見方があるという話は継続して伝えていますし、少しずつ行政の観光担当の方々の頭の片隅に積み重なっていけばいいなと思っています。

「ナイトタイム」の再定義と横の広がり

牧野: あと、東京都で「ナイトタイム(夜間の観光)」の施策をやりましたよね。2年前の観光有識者会議の部会でナイトタイムを扱ったのですが、その際に出した議論もまさにメタ観光的な視点でした。「ナイトタイム」と言うと、すぐ「バー」だ「クラブ」だという話になりがちですが、もっと幅が広いはずだと。花火もそうだし、ホタルもそう。月を見るのだってそうです。夜の時間をどう楽しむかという定義をもっと広く考えよう、という議論を展開しました。

玉置: どうしてもこれまでの頭の中にあるナイトタイムは、ライトアップやプロジェクションマッピングといった話に終始してしまいますよね。

牧野: そうではなくて、例えば地域の商店街がやっているような縁日や夜市なども含めて、もう少し広く「夜の時間をどう過ごすか」を考えようという話をしました。

玉置: 墨田区で「夜歩く」というワークショップをされましたが、あれはどうでしたか?

牧野: あれも面白かったですよ。そもそも夜の街をちゃんと意識して歩くということを、人はあまりしていません。ただ帰るだけですから。何が「照明」として面白いのか、夜見るからこそ面白いものは何か、という視点で街を見ていくと、やはり発見があるんです。参加した方々も非常に喜んでくれました。実はあれには江東区の方たちも参加してくれていて、それを見て「自分たちも江東区でやろう」という話になったんです。

玉置: 墨田区の夜の街歩きに、わざわざ江東区の方が来て刺激を受けたと。こうやってみんなで歩けば怖くないですしね(笑)。一人で歩くのとは全然違いますから。

牧野: ええ、墨田区や江東区あたりなら全然怖くないですしね。非常に良い広がりだったと思います。

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