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水がいらない透析が頂点に。過去最多の激戦「XTC JAPAN 2026」全ピッチ

精鋭10社が登壇。AI創薬やバイオ、素材など各社の取り組みをレポート

連載
JID 2026 by ASCII STARTUP

提供: XTC JAPAN

 2026年3月3日、グローバル課題に技術で取り組む起業家のための世界的スタートアップ・コンテスト「Extreme Tech Challenge(以下「XTC」)」の第7回日本大会「XTC JAPAN 2026」が開催された。今回も、先端テクノロジーとイノベーションの展示カンファレンス「JID 2026 by ASCII STARTUP」と共同開催となった。

 XTCは、世界100カ国から数千社以上が参加する世界最大規模のピッチコンテストだ。世界のVC・大企業70社超が共同運営し、SDGsの17の課題を解決するテクノロジーを持つ起業家を発掘し、世界展開を後押しする。日本の「XTC JAPAN」は2020年から開催しており、過去に登壇したファイナリストの約7割が資金調達を達成するなど、日本発のディープテック・スタートアップが世界へ羽ばたく登竜門になっている。

 今年は昨年の約2倍となる過去最多のエントリーがあり、台湾など海外からの応募も多数寄せられるなど熱い注目を集めた。今回ピッチステージに登壇したのは、激戦の予選を勝ち抜いた新進気鋭のスタートアップ10社。本大会では、投資家目線での事業性を最重要視しつつ、4つの観点で総合的に審査が行われる。

 1つ目の観点は、Innovation(革新性)。プロダクトや事業にどれだけ新しい工夫が凝らされ、競合と比べて明確に差別化されているかどうかがポイント。今まで実現できなかった、他社には真似できない革新的な技術が高く評価される。

 2つ目のProduct Market Fit(市場との適合性)は、その事業がどれだけ大きく成長する可能性があるか、そのための具体的な道筋を描けているかを見る。素晴らしいSDGsのアイデアであっても、ビジネスとしてスケールしなければ世界は変えられないという、XTCの大切な評価基準となる。

 3つ目のTech for Good(解決課題の重要性)は、事業が人類社会や地球環境をどれだけ良い方向に導くかという影響力だ。世界中の人々が直面する深刻な課題に立ち向かう起業家を発掘・支援するという、XTCを象徴する評価軸だ。

 4つ目のTeam(創業メンバー)は、メンバーがビジョンを実現するのに最適な布陣かどうか。単なる肩書きや過去の実績だけでなく、どれだけ顧客や業界の課題を深く理解し、困難を乗り越える熱意を備えているかが鍵となる。

 審査員は、Red Capital株式会社 代表取締役マネージングパートナーの井上智子氏、立命館大学 情報理工学部教授の西尾信彦氏、株式会社アイティーファーム ジェネラルパートナーの白井健宏氏、Plug and Play Japan株式会社 Head of Venturesの馬静前氏の4名が務めた。

Red Capital株式会社 代表取締役マネージングパートナー 井上智子氏

立命館大学 情報理工学部教授 西尾信彦氏

株式会社アイティーファーム ジェネラルパートナー 白井健宏氏

Plug and Play Japan株式会社 Head of Ventures 馬静前氏

 ピッチ時間は各社3分間、その後の質疑応答が5分間設けられた。この日本大会で見事優勝を果たした企業は、2026年11月に米国サンフランシスコで開催予定のXTC世界大会へのシード進出権を獲得できる。さらに、グローバルパートナー企業や歴代ファイナリストとのネットワーキング、英語ピッチメンタリング、そして海外資金調達の手厚い支援を獲得できるという。

 これからグローバル市場に挑戦する新進気鋭のスタートアップたちが、それぞれの革新的なビジネスモデルや先進の技術、斬新なアイデアを次々と披露した熱気あふれるピッチステージの模様をお届けする。

自由な在宅治療を可能にする「給水不要の血液透析装置」(フィジオロガス・テクノロジーズ株式会社)

 1社目の登壇はフィジオロガス・テクノロジーズ株式会社 代表取締役の宮脇一嘉氏で、「給水不要の血液透析装置」というテーマでプレゼンした。

フィジオロガス・テクノロジーズ株式会社 代表取締役 宮脇一嘉氏

 フィジオロガス・テクノロジーズは独自の吸着フィルターを用いた透析液再循環ユニットにより、透析液をシステム内で浄化・循環させる技術を開発している。従来の在宅血液透析には、1回あたり最大バスタブ10杯分(約2トン)の清浄な水が必要で、専用の水道工事が不可欠であったが、同社はこれらを完全に不要にすることに成功したという。

 「クリニックに患者さんが一回4時間の治療のために週3回通っています。そのような生活を過去のものにします。我々の装置は、給排水配管及び日常メンテナンスが不要です。給排水配管、日常メンテナンスを不要にすることで、コンパクト、簡単、安全な装置を開発しております。この装置により、患者さんが自由に生活できるようになります」(宮脇氏)

 現在最終プロトタイプの開発を進め、オーストラリアでの非臨床試験の実施に向けて10億円の調達を目指しているとのことだ。今後は2027年6月ごろにプロトタイプを完成させ、最短で2030年に米国、2031年ごろには日本での販売開始を見据えているという。

給水や配管を不要にし、コンパクトで安全な在宅血液透析の装置を実現

自然言語で製造用3Dモデルを自動生成し、設計のボトルネックを解消する「Ignite Zero」(株式会社トコシエ)

 2社目の登壇は株式会社トコシエ CEOの渡辺龍徳氏で、自然言語から製造用の3Dモデルを自動生成するAIエージェントについてプレゼンした。

株式会社トコシエ CEO 渡辺龍徳氏

 従来のCADは形状情報と操作履歴しか保持せず、設計意図が残らない課題があった。同社が開発したAI設計ツール「Ignite Zero」は、テキスト等で要件を伝えるだけで生産に使える3Dモデルを数秒で生成する。顧客の設計意図を推論し、構造化されたデータベースを構築する独自アーキテクチャが強みだ。

 「私たちは長年ロボットを作ってきました。しかし、試作を1回繰り返すたびに、設計し直し、作り直し、再テストする必要があります。製造工程の労力の50%は設計に費やされており、競争上のボトルネックになっています。ハードウェアの試作は非効率で複雑すぎます」(渡辺氏)

 現在は個人のロボティクスエンジニアを初期ターゲットとし、CESで集まった約1000件のウェイティングリストから842人の有料ユーザーを獲得。100万ドルのARR(年次経常収益)達成を見込むという。今後はロボティクス分野を足がかりに、世界中のプロ向けCADユーザーへ市場を拡大する計画だ。

チャットベースで対話しながら検証済みの3Dモデルを生成する

独自構築の言語モデルとデータベースで抗体創薬を自動化する「AI抗体創薬プラットフォーム」(株式会社MOLCURE)

 3社目の登壇は株式会社MOLCURE CEO/CSO 玉木聡志氏。「独自構築の抗体言語モデルとデータベースを基盤とした、AI抗体創薬プラットフォーム」というテーマでプレゼンした。

株式会社MOLCURE CEO/CSO 玉木聡志氏

 MOLCUREは製薬会社向けにAIを用いた抗体設計を提供している。抗体医薬品は高い薬効と少ない副作用が特徴だが、分子が巨大で複雑なため設計の難易度が極めて高い。そこで、自社ラボに次世代シーケンサーとファージ実験を組み合わせた特許技術を実装し、AIの学習に欠かせないデータを独自に生成・蓄積することで、高分子領域の創薬を加速させているという。

 「この分野で強いAIをつくるには、新しいデータを生み出すことが不可欠です。生物学とAIの間には、まだ圧倒的にデータが不足しているからです。そこで私たちは、NGSとファージディスプレイ実験を統合した特許取得済みのワークフローを構築しました。現在、当社データベースには10億件を超える独自データセットが蓄積されており、これは世界で公開されているデータの100倍以上に相当します」(玉木氏)

 実際の米国製薬企業とのプロジェクトでは、従来手法の100倍強力なピコモーラー級の薬剤候補をわずか3週間で発見することに成功した。現在はベーリンガーインゲルハイムや小野薬品工業など19社と27件のプロジェクトを進行中だ。2028年までには10社の製薬企業へAIエージェントを導入し、24時間365日体制での自律的な創薬の実現を見据えているという。

特許取得済みの実験ワークフローで独自データを蓄積しAIを強化する

シリコンナノ粒子の共鳴色で塗料の常識を覆す「ResoFia」(NanoResonance株式会社)

 4社目は、NanoResonance株式会社 CEOの亀田孝裕氏。シリコンナノ粒子による共鳴発色材料「ResoFia」についてプレゼンした。

NanoResonance株式会社 CEO 亀田孝裕氏

 従来の化学合成顔料は、厚く重いうえに経年劣化による退色が避けられず、環境負荷も大きいという課題があった。「ResoFia」は化学組成ではなく、シリコンナノ粒子の粒径(直径)を制御することで光の共鳴波長をコントロールし、色を設計するのが特徴だ。

 「約20年前にLEDが実装され、あらゆる照明が置き換わりました。これと同じように、我々の共鳴発色技術で色の世界を塗り替えていきます。ResoFiaは退色せず、発色が難しい黒い基材の上でも、強度を失わず、膜厚を劇的に薄くすることができます」(亀田氏)

 同材料は、黒い下地の上でも前処理なしで鮮明に発色し、モビリティ分野では従来塗装の100分の1の薄さで同等の発色強度を実現できるという。その結果、大幅な軽量化に加え、コストとCO2排出量の削減も見込める。現在は3億円以上の資金を調達しており、まずは化粧品向けの少量高付加価値市場から展開し、将来的には自動車や建築などのマスマーケットを狙う計画だ。

従来の塗装とNanoResonance方式の比較。総膜厚を40%削減できる

眼鏡型カメラとAIでラボ実験の記録を自動化し、創薬の効率を高める「Prometheus Lab AI」(CancerFree Biotech)

 5社目は、台湾からの登壇となるCancerFree Biotech CEOのPo Chen氏。眼鏡型カメラで取得した映像をAI解析し、創薬実験を自動的に文書化するシステムについてプレゼンした。

CancerFree Biotech CEO Po Chen氏

 これまで、新薬開発における実験記録は手書きノートや手入力の電子ノートが主流であり、記録の不備による特許紛争の発生や、再現できない臨床研究によって毎年約280億ドルもの損失が生じているという。

 「私たちのAIモデルは、動画の中のあらゆる動作を構造化データへ変換できます。この構造化データを使えば、より良い標準作業手順書や高品質なコンプライアンス文書を作成できます。動画は社員教育や高度なロボット統合にも活用できます。AIは現実世界のラボのワークフローによって学習されており、精度も高めています」(Chen氏)

 この技術により、従来75分かかっていた手書きの記録作業をわずか2分に短縮し、最大6カ月間の開発期間の短縮が見込めるという。さらに、研究者のプライバシーを保護するモジュールを搭載し、エッジコンピューティングで処理を行うため機密情報漏洩の懸念も少ない。台湾、日本、米国の市場に注力し、今後は病理分野や看護分野への展開も視野に入れている。

手作業の記録を自動化し、ラボのトレーサビリティと効率を向上させる

遺伝子組み換えショウジョウバエで創薬スクリーニングを高速化する「Flow Zoometry」(株式会社FlyWorks)

 6社目は株式会社FlyWorks Founder&CEO ウォーカー・ピーターソン氏が登壇。遺伝子組み換えショウジョウバエを活用した高速かつ大規模な創薬スクリーニング技術をプレゼンした。

株式会社FlyWorks Founder&CEO ウォーカー・ピーターソン氏

 創薬開発における動物実験は、高価で時間がかかり、倫理的・規制的な障壁も高い。FlyWorksは、マウスの代わりにショウジョウバエを使うことで、コストと時間、規制対応の重さを一気に軽くしようとしている。ショウジョウバエは人間の疾患遺伝子の75%を共有し、哺乳類に似た反応を示す一方で、安価かつ短期間で成長するため、実験の効率化に最適だという。

 「私たちのコア技術『Flow Zoometry』は、ヒト疾患モデルのハエを自動化されたシステムに投入し、ロボティクス、AIを用いて生物学的な挙動や化合物の有効性を深く理解します。マウス試験と比べて300倍速く、1000分の1のコストで、スケールすることもできます」(ピーターソン氏)

 この技術を用いることで、複数の臓器にまたがる複雑な表現型解析やまれな事象の検出ができるようになる。現在はがん領域に注力しているが、糖尿病や神経変性疾患などへの応用も可能だ。今後はキャッシュフローの黒字化と大手製薬企業とのパートナーシップ確立を目指し、将来的には自社パイプラインの構築も視野に入れている。

ハエを用いたスクリーニングを自動化する「Flow Zoometry」の仕組み

デジタルインフラでアフリカの農村に変革をもたらす「Dots for」(株式会社Dots for)

 7社目は、3年ぶり2回目の登壇となる株式会社Dots for Chief Product Officerの外村璃絵氏。アフリカの農村部向けデジタルインフラハブの事業展開についてプレゼンした。

株式会社Dots for Chief Product Officer 外村璃絵氏

 アフリカにはいまだにインターネット未接続の人が最大10億人いると言われている。未電化・未通信の地域では、情報や機会の格差が広がり、収入を上げることが困難な状況だ。同社はこうした課題を解決するため、太陽光で電力を供給し、学習動画や仕事、買い物ができる安価なデジタルインフラ「dConnect-BOX」を開発した。

 「1村あたり7カ月で投資回収できる価格というのも強みです。また、デジタルハブだけでなく、フィジカルハブとして、携帯充電、バイクレンタル、印刷なども展開しており、村で欠かせないインフラになりつつあります。顧客の利用データを用いて個人のクレジットスコアを創造し、一括で買えなかった人たちへ分割払いのEコマースも展開し始めました」(外村氏)

 この3年間で四半期平均成長率45.2%という急成長を遂げ、ARR(年次経常収益)1億円規模のビジネスに拡大した。現在はベナンやセネガルなど500村以上でサービスを展開しており、2027年にはキャッシュフローベースでの黒字化を予定。2032年にはCFAフラン通貨を使用する5カ国の4万村での展開を目指している。

1村あたり7ヶ月で投資回収できるデジタルインフラ「dConnect-BOX」

数十個の遺伝子導入で植物由来の希少成分を微生物に量産させる「合成生物学技術」(ファーメランタ株式会社)

 8社目の登壇は、ファーメランタ株式会社 代表取締役CEOの柊崎庄吾氏。合成生物学を用いて、自然界から抽出される希少成分を微生物の力で発酵生産する技術についてプレゼンした。

ファーメランタ株式会社 代表取締役CEO 柊崎庄吾氏

 従来の農業による植物抽出法は、水や土地、エネルギーを大量に消費し、環境負荷が高いという課題がある。同社の技術は、微生物に数十個という多数の遺伝子を導入することで、植物が作り出す複雑な成分を再現する。

 「これまで伝統的な農業で作っていたものを、微生物に遺伝子を入れることで量産能力を与え、糖質さえ与えれば勝手に物質を作ってくれるという生命システムを開発しています。従来は、年単位の時間が必要なところ、日単位になって、天然では1%以下しか含まれていないものを20%程度へ向上できます。利用する土地や水、エネルギー、CO2排出量などを95%ぐらい下げることができます」(柊崎氏)

 現在は300リットルまでのバイオ装置を備えたパイロットプラントの立ち上げを進めており、受託業者(CDMO)とのネットワーク構築にも注力している。今後は受託開発に加え、自社パイプラインの製造販売も並行して進め、5年後には100億円規模、6年目からは250億円規模の売上を目指すという。

微生物に20〜30個もの遺伝子を導入する独自の多段階遺伝子導入系

光スイッチ技術で芳香族化合物の低コストな発酵生産を実現する「バイオものづくり」(株式会社ミーバイオ)

 9社目の登壇は、株式会社ミーバイオ 光スイッチスマートセル開発リーダー 濵野公輔氏。微生物による芳香族化合物の低コストな生合成技術についてプレゼンした。

株式会社ミーバイオ 光スイッチスマートセル開発リーダー 濵野公輔氏

 ミーバイオは東京大学発のスタートアップで、バイオマスから半導体素材などにも使用される「芳香族化合物」を生産している。バイオ由来製品は石油由来品に比べて価格が高いことが普及の課題だが、その原因は芳香族化合物の毒性による「菌の増殖阻害」にあった。

「芳香族化合物の毒性によって生産菌が増えることができず、大量生産につながりません。これが大きな高コストの要因です。私たちのソリューションは発酵の過程を、増殖のフェーズと生産のフェーズに、光によってぱちんと切り分けます。私たちはこのプロセスによって、石油化学品と同等のターゲットコストを実現します」(濵野氏)

 コア技術は、光を照射することで遺伝子編集酵素をオフからオンへ切り替え、物質生産のタイミングを完全にコントロールすることで、コストを最大90%削減できるという。現在は大型補助金を獲得してパイロットプラントを建設中で、まずは半導体のバイオ原料市場から参入し、将来的には化粧品などにも使われるバルク化学品原料へとパイプラインを広げる計画だ。

光スイッチで増殖と生産のフェーズを切り分け、菌の増殖阻害を解決する

骨髄穿刺の苦痛をなくし血液で白血病をモニタリングする「全ゲノム解析モニタリング検査」(株式会社Liquid Mine)

 最後となった10社目は、株式会社Liquid Mine 代表取締役社長の岸本倫和氏が登壇し、「白血病の血液モニタリング検査」というテーマでプレゼンした。

株式会社Liquid Mine 代表取締役社長 岸本倫和氏

 従来の白血病検査は、原因遺伝子の特定が難しく、継続的なモニタリングが可能な患者が全体の約30%にとどまるうえ、非常に強い痛みを伴う「骨髄穿刺」が不可欠という重い課題を抱えていた。Liquid Mineは、全ゲノム解析によって患者ごとの原因遺伝子変異を正確に特定し、それぞれに特化した専用の検査薬を作成する技術を確立した。

 「従来の技術ではできなかった血液検査で、96%の患者様がモニタリング検査を行うことが可能となりました。社会実装が進めば、骨髄検査はなくなり、すべて血液検査に置き換わります」(岸本氏)

 Liquid Mineの技術で再発リスクを測る物質を陰性化できた患者に限れば、移植後3年の生存率が87.1%に達するという優れたデータも学会で報告されている。すでに国内102施設、海外12カ国21施設の医師と面談を進めており、大手事業会社との業務提携も締結済みだという。

 今後は2029年4月の薬事承認と同年10月の保険収載を目指す。さらに10年後には白血病領域で2850億円、12年後には悪性リンパ腫などの血液がん全体へ適応を広げ420億円の売上獲得を見据えている。

全ゲノム解析と患者ごとのカスタム検査薬により96%の患者が血液だけで検査可能になる

「XTC JAPAN 2026」優勝はフィジオロガス・テクノロジーズ、準優勝はDots forに決定

 厳正なる審査の結果、「XTC JAPAN 2026」の優勝を果たしたのは、給水不要の在宅血液透析装置を開発するフィジオロガス・テクノロジーズとなった。準優勝はアフリカ村落向けデジタル経済インフラハブを展開するDots for、そして今回特設された特別賞「Applied Intelligence Award」には、AI抗体創薬プラットフォームを提供するMOLCUREが選ばれた。

 今年は、優勝したフィジオロガス・テクノロジーズに加え、特別賞のMOLCUREも、2026年秋ごろに米国サンフランシスコで開催が予定されるXTC世界大会に参加できるという。

「XTC JAPAN 2026」ではフィジオロガス・テクノロジーズが優勝を果たした

 見事優勝に輝いたフィジオロガス・テクノロジーズは、透析患者が直面する「就労困難」という課題に対し、毎日働ける環境を実現するという社会的・経済的インパクトの大きさが評価の決め手となった。同社 代表取締役社長の宮脇一嘉氏は「日本での医療機器開発は難易度が高く、世界を見据える必要がある領域です。装置はまだ発展途上であり、強力な支援が必要です。今回の受賞と世界大会への進出を大変嬉しく思います」と語った。

 審査員を務めたRed Capital株式会社の井上智子氏は、「米国をはじめとするグローバル市場への積極的な展開を全力で応援したいという総意で選出しました。XTCのグローバルネットワークを最大限活用し、米国展開を手厚く支援します」と、同社の米国進出に向けた力強いサポートを約束した。

 準優勝のDots forは、携帯の電波すら届かないアフリカの農村部に独自のイントラネットを構築し、デジタル化による収入向上を実現する革新的なモデルを展開している。同社 Chief Product Officerの外村璃絵氏は「3年前の出場時からサービスが進捗した姿を見せることができました。過小評価されがちなアフリカの農村部ですが、実はマーケットが非常に広く、事業が成り立つということを多くの方に知っていただく機会になれば幸いです」 と語った。

 審査員を務めたPlug and Play Japan株式会社の馬静前氏は、「過去3年間で事業が大きく成長し、アフリカという難易度の高い市場において97%という高い回収率を実現している点は、チームの努力の賜物であり素晴らしい結果です。XTC JAPANのアルムナイ(卒業生)の成長を審査員として素直に嬉しく思います」と、同社の確かな歩みと実行力を称賛した。

 そして特別賞を受賞したMOLCUREは、独自構築の抗体言語モデルと10億件を超える巨大なデータベースをもとに、従来不可能だった範囲での新薬候補物質の探索を可能にするAI抗体創薬プラットフォームを提供する。同社 CEO 玉木聡志氏は、「AI創薬は進んでいるように見えて実は課題が多い業界です。日本発のテクノロジーとして今後の業界をリードする技術を作っていきたいと考えており、今回の賞を推進力として技術を世界へ広めていきます」と今後のAI創薬領域を牽引する決意を力強く語った。

 審査員である立命館大学の西尾信彦氏は、「AI分野が全面的に破壊的な進化を遂げる中、その技術にしっかりとキャッチアップしていける企業として選出しました。薬や抗体を作るだけでなく、データビジネスもしっかりと展開し、世界大会でグローバルネットワークを構築していくことをXTCとしても支援します」と強固なビジネスモデルを構築している点を高く評価した。

 XTC JAPAN幹事であり、アイティーファーム ジェネラルパートナーの春日伸弥氏が「全社が史上最高点に近いスコアであり、どの企業が優勝してもおかしくない素晴らしいピッチだった」と総括したように、日本のディープテック企業が持つ世界を変えるポテンシャルと熱気を強く印象づける大会となった。

XTC JAPAN幹事/アイティーファーム ジェネラルパートナー 春日伸弥氏

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